睡眠衛生とは|眠りのための生活習慣と環境をまとめて指す言葉
「睡眠衛生」は、眠りにかかわる生活習慣や環境を、ひとまとめに指す言葉として使われています。ここでは、この言葉が何を指しているのかと、公的な資料がそれをどう整理しているのかを、あわせて見ていきます。
- 睡眠衛生は、眠りにかかわる生活習慣と寝室の環境をまとめて指す言葉であること
- 公的な資料にはこの言葉は出てこず、「生活習慣」「睡眠環境」と書かれていること
- 資料には「可能なものから取り組む」と書かれており、全部そろえる前提ではないこと
睡眠衛生とは
睡眠衛生(すいみんえいせい)とは、眠りにかかわる生活習慣と、寝室などの環境をまとめて指す言葉です。起きる時刻と寝る時刻、日中の光の浴び方、運動や食事、カフェインやお酒との付き合い方、寝室の明るさ・温度・音といった、はば広い項目がここに含まれます。
ひとつの決まったやり方を指す言葉ではありません。眠りに関係する暮らしの条件を、ひとまとめに呼ぶための箱のような言葉だと考えると、位置づけがつかみやすくなります。
「衛生」は清潔さのことだけを指すのではありません
「衛生」と聞くと、掃除や清潔さを思いうかべるかもしれません。ここでの「衛生」は、健康を保つために条件を整える、という広い意味で使われています。寝具を清潔に保つこともそのひとつですが、それだけを指す言葉ではありません。
睡眠衛生は、眠りにかかわる生活習慣と環境をまとめて指す言葉です。決まったやり方の名前ではありません。
公的な資料では「生活習慣」「睡眠環境」と書かれています
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を通して読むと、「睡眠衛生」という言葉は出てきません。かわりに、「生活習慣」「睡眠環境」という言葉で整理されています。成人版の推奨事項には、次のように書かれています。
適正な睡眠時間には個人差があるが、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する。
食生活や運動等の生活習慣や寝室の睡眠環境等を見直して、睡眠休養感を高める。
(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」成人版 推奨事項より)
睡眠衛生という言葉が指しているのは、おおむね2行目にあたる範囲です。資料をあたるときは「生活習慣」「睡眠環境」の2語で探すほうが、目当ての記述にたどりつきやすくなります。文中の「睡眠休養感」は、睡眠で休養がとれている感覚を指す言い方です。
環境の側について書かれていること
同じガイドの「良質な睡眠のための環境づくりについて」には、ポイントとして次の4行が並んでいます。
日中にできるだけ日光を浴びると、体内時計が調節されて入眠しやすくなる。
寝室にはスマートフォンやタブレット端末を持ち込まず、できるだけ暗くして寝ることが良い睡眠につながる。
寝室は暑すぎず寒すぎない温度で、就寝の約1~2時間前に入浴し身体を温めてから寝床に入ると入眠しやすくなる。
できるだけ静かな環境で、リラックスできる寝衣・寝具で眠ることが良い睡眠につながる。
(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」良質な睡眠のための環境づくりについて より)
光・温度・音・寝具という4つの切り口が並んでいます。どれも特別な道具を必要とするものではなく、いま住んでいる部屋のなかで確かめられる項目です。ここに出てくる体内時計や深部体温は、この事典でも別のページで扱っています。
よくある誤解「全部そろえないと意味がない」
睡眠衛生として挙げられる項目は数が多いため、これを全部そろえなければ意味がない、と受けとめられることがあります。同じガイドには、取り組み方について次のように書かれています。
実際に取組を進めるに当たっては、個人差(健康状態、身体機能、生活環境等)を踏まえ、可能なものから取り組むことが必要である。
(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」本ガイドにおける推奨事項の概要について より)
できるところから、という書き方になっています。一度にすべてを変えようとするより、いま気になっている項目をひとつ選んで様子を見るほうが、続けやすいと考えられます。
睡眠衛生を構成する言葉の見取り図
睡眠衛生という言葉のなかには、この事典で別々に扱っている言葉がいくつも含まれています。冒頭で挙げた切り口ごとに並べておきます。運動や食事のように、この事典に見出しのない項目もあります。
| 切り口 | 関係する言葉 |
|---|---|
| 一日のリズム | 体内時計/概日リズム/メラトニン |
| リズムのずれ | クロノタイプ/社会的時差ぼけ |
| 眠りの量 | 睡眠負債/睡眠効率 |
| 眠りの中身 | ノンレム睡眠/レム睡眠/睡眠の90分サイクル |
| からだの変化 | 深部体温 |
| 嗜好品 | カフェイン/アデノシン |
| 眠る前の流れ | 入眠儀式/入眠潜時 |
| 起きたあと | 睡眠慣性/パワーナップ |
| 音の環境 | マスキング効果/1/fゆらぎ |
ひとつずつの言葉は、それぞれのページで扱っています。まとめて見わたすときはひつじの睡眠事典の一覧から、暮らしの工夫は眠りのガイド、夜に流す音は環境音のまとめからたどれます。
よくあるご質問
「睡眠衛生」は公的な資料に出てくる言葉ですか。
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を通して読むと、「睡眠衛生」という言葉は出てきません。同じ内容は「生活習慣」「睡眠環境」という言葉で整理されています。資料をあたるときは、この2語で探すほうがたどりつきやすくなります。
睡眠衛生として、まず何から見直せばよいですか。
見直す順番を定めた公的な決まりは見あたりません。同じガイドには、個人差を踏まえて可能なものから取り組むことが必要である、と書かれています。起きる時刻、日中の光の浴び方、寝室の明るさや音のうち、いま気になっているものをひとつ選ぶ形が現実的です。
睡眠衛生を整えると、どのくらい変わりますか。
変化の大きさを一律に示した資料は見あたりません。必要な睡眠時間にも感じ方にも個人差があるためです。整えても気になる状態が続くとき、日中の生活に支障が出ているときは、ひとりで抱えこまず医療機関にご相談ください。
出典・参考
- 厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023(PDF・本ガイドにおける推奨事項の概要について/成人版 推奨事項/良質な睡眠のための環境づくりについて。本文中の引用箇所)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「健やかな睡眠と休養」
- 厚生労働省 睡眠対策
ご注意
この記事は一般的な情報をまとめたものであり、病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。アプリ「ひつじの添い寝」は医療機器ではなく、症状の改善や治療を行うものでもありません。
眠れない状態が続くとき、日中の生活に支障が出ているときは、ひとりで抱えこまず医療機関にご相談ください。