入眠潜時とは|寝床に入ってから眠りにつくまでの時間
「入眠潜時」は、寝床に入ってから眠りにつくまでの時間を指す言葉です。日常の会話ではまず使いませんが、公的な資料では寝室の環境の話とともに何度も出てきます。ここでは意味と使われ方を整理します。
- 入眠潜時は、寝床に入ってから眠りにつくまでの時間を指すこと
- 公的な資料では、寝室の環境を扱う項目でくり返し使われること
- 何分が目安という記述は見あたらず、寝床に入る時刻とも関係すること
入眠潜時とは
入眠潜時(にゅうみんせんじ)とは、寝床に入ってから、実際に眠りにつくまでの時間を指す言葉です。「なかなか寝つけない」という感覚を、時間の長さで言いあらわしたもの、と考えるとわかりやすくなります。
「健康づくりのための睡眠ガイド2023」には、次のようにあります。
いくつかの実験研究では、就寝前にからだを温めることで、入眠潜時(就床から入眠までの時間)が短縮することが報告されています。
(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」良質な睡眠のための環境づくりについて より)
かっこの中が、そのまま言葉の意味です。「就床」は寝床に入ること、「入眠」は眠りに入ることを指します。
睡眠効率とセットで出てくる言葉
入眠潜時は、睡眠効率と並べて使われることの多い言葉です。睡眠効率が「寝床にいた時間のうち、どれくらい眠っていたか」を見るのに対して、入眠潜時は「寝床に入ってから眠るまでにどれくらいかかったか」を見ています。同じ一夜を別の角度から見た言い方です。
入眠潜時=寝床に入ってから眠りにつくまでの時間。睡眠効率とセットで、寝床にいた時間と眠っていた時間の関係を見るのに使います。
資料のなかでは、どう使われているか
同じガイドでは、寝室の環境を扱う項目にくり返し出てきます。音についての記述です。
さらに近年の研究では、寝室内で測定した騒音が、アクチグラフィー(超小型超精密加速度計を内蔵した装置)で測定した睡眠効率の低下、入眠潜時・中途覚醒時間の延長と有意に関連したことから、静かな睡眠環境の確保が重要と考えられます。
(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」良質な睡眠のための環境づくりについて より)
室温についても、冬に実施した調査研究から、就寝前に過ごす部屋の室温が低いと入眠潜時が延長することが示されている、という記述があります。いずれも研究の紹介で、どの人にも同じことが起きるという意味ではありません。ただ、この言葉が寝室の環境とセットで登場しやすいことはわかります。
「何分で寝つくのがふつう」と言い切れない理由
何分以内なら問題がない、といった線引きはここでは扱いません。専門的な検査や診療の場面で扱われるものだからです。
もうひとつ、暮らしの側にも理由があります。同じガイドの記述を引きます。
身体が必要とする睡眠時間以上に眠りをとろうと床の上で長く過ごすと、「寝つくまでに長く時間がかかる」、「途中で目が覚める時間(回数)が増える」、「熟眠感が減る」など、眠りの質が低下することがわかっています。
(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」睡眠に関する基本事項 より)
早い時刻に寝床へ入るほど、寝つくまでの時間は長くなりやすいということです。「今日は寝つくのに時間がかかった」と感じた夜が、何かの不調を示すとは限りません。
数字と、実感のあいだ
よく聞く言い方と、資料にそった受けとめ方を並べます。
| よく聞く言い方 | 資料にそった受けとめ方 |
|---|---|
| 15分で寝つくのが理想 | 何分が理想という記述は見あたらない。数字を見かけたら出どころを確かめる |
| 寝つきが遅い=眠りが足りない | 必要な時間以上に寝床で過ごしたときにも、寝つくまでの時間は延びるとされる |
| 機器が出す「寝つき◯分」は正確 | 同じガイドに、安価で購入可能な機器の計測精度は十分とは言い難いかもしれない、という記述がある |
数字を短くすること自体が目標になると、寝床で時計を気にする時間がかえって増えます。
数える前に、夜の環境のほうから
資料が寝室の環境を先に挙げるのは、そちらが手をつけやすいからかもしれません。就寝の1〜2時間前の入浴、寝室の静かさ、寝る前に過ごす部屋の室温。どれも寝床に入ってからではなく、その前の時間の話です。からだの内側の温度については深部体温のページで扱っています。
音も同じで、静かすぎて物音が気になる部屋なら、小さめの音を流して部屋の音を一定にしておく手があります。音量の決め方は眠るときの音量はどれくらい?、音の種類は眠るための音の図鑑のページをご覧ください。
寝つけない状態が続くときや、日中の生活に支障が出ているときは、ひとりで抱えこまず医療機関にご相談ください。
よくあるご質問
入眠潜時は、どうやって測るのですか。
厳密には、脳波などを使った測定で扱われるものです。家庭でストップウォッチのように計るものではありません。「健康づくりのための睡眠ガイド2023」のショートコラムには、安価で購入可能な機器においては計測精度の高さは十分とは言い難いかもしれない、という記述もあります。画面に出る数字は、その夜をふりかえるきっかけとしてながめるくらいがよさそうです。
何分くらいで寝つければよいのですか。
何分が目安と定めた公的な記述は見あたりません。同じガイドには、身体が必要とする睡眠時間以上に眠ろうと床の上で長く過ごすと、寝つくまでに長く時間がかかるなど眠りの質が低下する、とあります。寝つくまでの時間だけを見るより、寝床に入る時刻そのものを見直すほうが手がかりになります。
入眠潜時と睡眠効率は、どうちがうのですか。
入眠潜時は、寝床に入ってから眠りにつくまでの時間を指します。睡眠効率は、寝床にいた時間に対して実際に眠れた時間がどのくらいかという割合です。どちらも「寝床にいた時間と、眠っていた時間は同じではない」という事実を、別の角度から言いあらわした言葉です。
出典・参考
- 厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023(PDF・良質な睡眠のための環境づくりについて/睡眠に関する基本事項)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット 快眠と生活習慣
- 厚生労働省 睡眠対策
ご注意
この記事は一般的な情報をまとめたものであり、病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。アプリ「ひつじの添い寝」は医療機器ではなく、症状の改善や治療を行うものでもありません。
眠れない状態が続くとき、日中の生活に支障が出ているときは、ひとりで抱えこまず医療機関にご相談ください。