睡眠負債とは|意味と「寝だめで返せる?」の考え方をやさしく解説
「睡眠負債」という言葉を目にして、自分にもたまっているのだろうかと気になった方へ。この言葉が何を指していて、どんなふうに使われているのかを、やさしく整理します。
- 「睡眠負債」がどんな状態を指す言葉なのか
- なぜ「借金」という比喩が使われるのか
- 「寝だめで返せる?」という考え方の受け止め方
「睡眠負債」とはどんな言葉か
「睡眠負債」は、毎日のわずかな睡眠不足が少しずつ積み重なっていく状態を、たとえで言いあらわした言葉です。英語の「sleep debt」にあたる言い方で、日本語でも「負債」という経済の言葉をそのまま借りて使われています。
ここで押さえておきたいのは、これが病気の名前でも診断名でもないということです。「睡眠負債にかかる」という言い方は、本来の使われ方とは少しずれています。あくまで、足りていない睡眠がたまっている状態を、わかりやすく伝えるための表現です。
睡眠負債=毎日の少しの睡眠不足が、気づかないうちに積み重なっている状態をあらわす言葉。
なぜ「借金」にたとえるのか
この言葉が使われるのは、「借金」という身近なイメージが、とらえにくい状態をうまく説明してくれるからです。
- 1日ぶんは小さくても、日数がたつと合計は大きくなる
- 本人には、たまっているという実感が持ちにくい
- 「返す」「減らす」という行動とセットで考えやすい
とくに三つめが、この言葉らしいところです。「睡眠不足」は今この時点の状態だけを指しますが、「睡眠負債」はたまったぶんをこれからどうするかという時間の流れまで含んだ言い方になっています。だからこそ「返済」「解消」といった言葉と並べて使われることが多いのです。
「寝だめ」で返せる、という考え方
「寝だめ」は、ふだんより長く眠っておくことを指す言葉です。これから忙しくなる前に多めに眠っておくという意味でも、平日に足りなかったぶんを休日にまとめて眠るという意味でも使われます。後者は「睡眠負債を返す」という言い方とセットで語られることの多い考え方です。
この点について、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」には次のような記述があります。
実際には眠りを「ためる」ことはできません。(中略)休日の寝だめでは、平日の日中の眠気は完全には解消できず、メリットは極めて限定的との報告もあります。(中略)休日に長時間の睡眠が必要な場合は、平日の睡眠時間が不足しているサインであり、平日に十分な睡眠時間を確保できるよう、睡眠習慣を見直す必要があります。
(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」成人版 休日の「寝だめ」の問題点 より)
眠りの必要量も、休んだあとの感じ方も人それぞれです。気になるときは、下の「出典・参考」にある資料をご覧いただくか、医療機関にご相談ください。
この言葉とのつきあい方
「負債」という強い言葉のせいで、家計簿のように増減を管理しなければならない気持ちになることがあります。けれどこれはもともと、状態をわかりやすく伝えるための比喩です。数字に追われて眠れなくなっては本末転倒でしょう。
毎日の時間をきっちり計算するよりも、今日は少し早めに灯りを落とすくらいの、続けられる小ささで受け止めるほうが、この言葉とは長くつきあえます。眠る前の部屋を静かに整えておくことも、そうした環境づくりのひとつです。
よくあるご質問
「睡眠負債」は病気の名前ですか。
病気の名前や診断名ではありません。毎日の睡眠不足が積み重なった状態を、借金にたとえて言いあらわした表現です。気になる状態が続くときは医療機関にご相談ください。
「睡眠不足」と「睡眠負債」はどう違いますか。
「睡眠不足」は今この時点で足りていない状態を指します。「睡眠負債」は、その不足が日々積み重なっていることと、これからどうするかまでを含めて語られることが多い言い方です。
寝だめでたまったぶんは返せますか。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」には、実際には眠りを「ためる」ことはできず、休日の寝だめでは平日の日中の眠気は完全には解消できない、という趣旨の記述があります。眠りの必要量や感じ方には個人差がありますので、気になるときは医療機関にご相談ください。
出典・参考
- 厚生労働省 e-ヘルスネット 健やかな睡眠と休養
- 厚生労働省 睡眠対策
- 厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023(PDF)
ご注意
この記事は一般的な情報をまとめたものであり、病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。アプリ「ひつじの添い寝」は医療機器ではなく、症状の改善や治療を行うものでもありません。
眠れない状態が続くとき、日中の生活に支障が出ているときは、ひとりで抱えこまず医療機関にご相談ください。