昼は眠いのに夜は眠れない|昼と夜の眠気がずれているときの整え方
昼はずっと眠いのに、夜、寝床に入ると目がさえてしまう。この記事では、昼と夜の眠気がずれてしまう日について、厚生労働省の資料に書かれていることを確かめながら、昼寝・カフェイン・光という3つの入口に分けて整理します。手元で確かめられなかったことは、確かめられなかったと書いています。
- 昼寝の長さについて資料に書かれている目安(15分程度、高齢の方は30分程度)と、長い昼寝の扱われ方
- 夕方以降のカフェインが夜まで残るという記述と、置きかえの考え方
- 朝と夜で光のはたらく向きが逆になることと、3つを一度に始めないための順番
昼と夜で、眠気が入れかわってしまう日
昼食のあとから夕方まで、まぶたが重い。ところが夜、ようやく寝床に入ると、今度は頭が働きはじめて眠くならない。翌朝はまた起きられず、昼になるとまた眠い。こうなると、どこから手をつければよいのか分からなくなります。
このとき起きていることは、たいてい2つに分かれます。ひとつは、夜の眠りが足りていないぶんが、昼に出てきていること。もうひとつは、昼に眠ってしまったぶん、夜に回る眠気が減っていることです。この2つはたがいを強め合いますので、片方だけを直そうとしてもなかなか噛み合いません。
そこでこの記事では、公的な資料に記述のある3つ——昼寝・カフェイン・光——を順番に見ていきます。眠気がやってくる時刻そのものについては体内時計とは、朝型・夜型という個人差のとらえ方はクロノタイプとはにまとめています。
まず昼寝——「短めで十分」と書かれています
いちばん動かしやすいのは、昼のほうです。厚生労働省 e-ヘルスネットの「快眠と生活習慣」には、昼寝についてこう書かれています。
昼寝は午後の眠気を解消し活力を与えてくれます。15分程度の長さで十分です。高齢者では30分程度の昼寝を上手に利用することで、夕方のうたた寝が減少し、夜によく眠れるようになることもあります。
(厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」より)
「15分では足りないので延ばしましょう」ではなく、「15分程度で十分です」という書き方です。もっと寝ないと足りない気がする、という感覚とは、少しずれた向きで書かれています。
長い昼寝については、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」の高齢者版に、推奨事項としてはっきり書かれています。
長い昼寝は夜間の良眠を妨げるため、日中の長時間の昼寝は避け、活動的に過ごす。
(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」高齢者版 推奨事項より)
夜の眠気は、その日の起きている時間から生まれてくるもの、という前提でこれらの文章は書かれています。昼に長く眠るほど、夜に回るぶんは減る。「昼は眠いのに夜は眠れない」という一日は、その帳尻が合ってしまった状態だ、と読むこともできます。
昼寝の長さと時間帯のくわしい話は昼寝のとり方に、短い昼寝を指す言葉についてはパワーナップとはにまとめています。
うっかり長く寝てしまった日は
15分のつもりが1時間半だった、という日はあります。そういう日にまず起きるのは、起きたあとのぼんやり感です。この時間には睡眠慣性という言葉があてられていて、眠りが深まったところから起きたときほど強く出やすい、と説明されています。
同じ高齢者版には、長時間の昼寝を避けるための工夫として、目覚ましをかける、同居者に起こしてもらうなどの方法が挙げられています。気合いで起きるのではなく、起こしてもらう仕組みを先に用意しておく、という考え方です。横になる前に目覚ましをかけておくだけでも、だいぶ違います。
長く寝てしまった日の夜は、いつもの時刻に眠くならないことがあります。そこで「今日も眠れなかった」と数えはじめると、寝床が採点の場所になってしまいます。眠気が来ていない日は、来ていないというだけのことです。
意識して横になったものだけが昼寝ではありません。帰りの電車での居眠りも、夕食後にソファでうとうとした時間も、体からすれば同じことをしています。「昼寝はしていないのに夜眠くならない」というときは、この手の時間が積み上がっていないか思い返してみてください。
カフェインは、思っているより長く残ります
昼の眠気をコーヒーで押し返し、その夜また眠れなくなる。よくある往復です。「健康づくりのための睡眠ガイド2023」の「睡眠と嗜好品について」には、ポイントとして次のようにまとめられています。
カフェインの摂取量は1日400mg(コーヒーを700cc程度)を超えると、夜眠りにくくなる可能性がある。カフェインの夕方以降の摂取は、夜間の睡眠に影響しやすい。
(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」より)
同じ資料は、体に残る時間についても具体的に書いています。
前述のカフェインの血中半減期からは、19時に100mgのカフェインを摂取すると、24時になっても50mg分のカフェインが体内に残存するため、睡眠に悪影響を与える可能性が生じます。
(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」より)
夕方の一杯が、寝床に入るころにも半分ほど残っている、という書き方です。効き目が薄れることと、体から消えることは別だ、ということになります。ただし、ここには大きな個人差があります。
カフェインの代謝には個人差があり、敏感な人は、就寝の5~6時間前から控えた方よいでしょう。
(厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」より)
「何時までなら大丈夫」という線は、資料の側でも引かれていません。ですからこの記事でも、時刻を決め打ちにはしません。目安を知ったうえで、自分の場合はどうかを数日ぶん見比べてみる、というのが現実的だと思います。
カフェインは、コーヒーだけのものではありません。e-ヘルスネットは、コーヒー・緑茶・チョコレートなどに覚醒作用がある、と挙げています。睡眠ガイド2023には、茶葉を使っていない麦茶、そば茶、黒豆茶などに置きかえるのもよい、という記述もあります。夕方以降の飲みものは、やめるのではなく置きかえる。そのほうが続けやすいかもしれません。
光は、朝と夜で逆の向きにはたらきます
3つめは光です。e-ヘルスネットには、朝と夜とで、はたらく向きが逆になると書かれています。
朝に浴びた光は体内時計の時刻を早める(朝型にする)作用があります。
(厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」より)
逆に夕方から深夜にかけて浴びた光は体内時計の時刻を遅らせる(夜型にする)作用があり、夜が更けるほどその力は強くなります。
(厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」より)
昼と夜の眠気がずれているとき、朝の光は「前へ引き戻す側」、夜の光は「後ろへ押す側」に置かれます。片方だけを直しても引っぱり合いになりますので、朝に開けて、夜に落とす。この2つは対で考えるほうがよさそうです。
朝の光をどれくらい浴びればよいのか、曇りの日はどう考えるのかは朝の光はどれくらい浴びればいい?に、夜の画面との付き合い方は寝る前のスマホとどう付き合う?にまとめています。湯上がりから寝るまでの時間の使い方は寝る前のお風呂は何時間前?をご覧ください。
夜、眠気が来ないまま寝床にいるとき
昼を短く、夕方の一杯を控えめに、朝はカーテンを開ける。それでも今夜、眠気が来ないことはあります。そのときに寝床でねばるかどうかについて、睡眠ガイド2023の高齢者版に、寝床で過ごす時間を短くするときの注意として、次の記述があります。
その際、寝床で考えごとをするのは避けましょう。なかなか眠れないときはいったん寝床を離れ、寝床以外の静かで暗めの安心感が得られる場所で、眠気が訪れるまで安静状態で過ごします。そして、しばらくして眠気が訪れてから寝床に戻りましょう。
(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」高齢者版より)
高齢の方に向けた項目のなかの記述ですので、そのまま誰にでもあてはめる書き方はしません。それでも、寝床で時間を数えるより、いったん離れて暗く静かなところで眠気を待つ、という流れが示されているのは、覚えておいてよいと思います。眠れないまま朝を迎えた日の過ごし方は眠れないまま朝になったときにまとめています。
「1時間ぶんの余白」を先に空けておく
同じ睡眠ガイド2023には、寝る前の時間についての記述もあります。
そのためには、寝床に就く前に少なくとも1時間は家事や仕事、勉強に追われずリラックスする時間を確保することが有効です。
(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」より)
昼に眠くて仕事が進まなかった日ほど、この1時間は削られます。夜に取り返そうとして明るい画面の前で作業を続け、寝床に入る直前まで頭を使う。翌日また眠くなる、というつながり方をします。削るところを、この1時間ではなく別のところにできないか——というのが、この記述から取り出せる問いです。
その1時間の手持ちぶさたを、音で埋めるやり方もあります。眠るための音の図鑑では、雨や波、たき火などの音の特徴をまとめています。流すときは音量を小さめにして、時間がきたら自動で止まるようにしておくと、止めるために起き上がらずに済みます。
3つを一度に始めない
昼寝・カフェイン・光。3つとも今日から変える、と決めると、たいてい2日で終わります。順番をつけて、ひとつずつのほうが続きます。目安としては、次の順番が扱いやすいと思います。
- 1つめ——昼に長く眠らない。横になる前に目覚ましをかけるだけで済みます
- 2つめ——夕方以降の一杯を、カフェインを含まない飲みものに置きかえる
- 3つめ——朝、起きたらカーテンを開ける。夜は照明を落とす時刻を決めておく
1つめと2つめは、その日のうちに手が届きます。3つめは、毎朝くり返して効いてくる種類のものです。ひとつ変えて、数日ようすを見て、変わらなければ次へ。同時に全部を変えると、どれが効いたのか分からなくなります。
記録を取るなら、数えるためではなく見比べるために。何時に飲んだか、昼にどれくらい寝たか、夜どうだったか。3行くらいのメモで足ります。
最後に。昼の眠気が強く続くとき、夜眠れない状態が続くとき、日中の生活に支障が出ているときは、生活の工夫だけで抱えこまず、医療機関にご相談ください。睡眠ガイド2023にも、睡眠時間や生活習慣を見直したうえで、それでも日中の眠気がおさまらない場合は医師に相談するように、と書かれています。
よくあるご質問
昼寝は何分くらいまでにすればよいですか。
厚生労働省 e-ヘルスネットの快眠と生活習慣には、昼寝は15分程度の長さで十分であること、高齢者では30分程度の昼寝を上手に利用することで夕方のうたた寝が減り、夜によく眠れるようになることもある、と書かれています。健康づくりのための睡眠ガイド2023の高齢者版には、長い昼寝は夜間の良眠を妨げるため、日中の長時間の昼寝は避け、活動的に過ごす、とあります。長さや時間帯のくわしい話は、昼寝のとり方のページに整理しています。
夕方のコーヒーは、やめたほうがよいですか。
健康づくりのための睡眠ガイド2023には、カフェインの夕方以降の摂取は夜間の睡眠に影響しやすいこと、e-ヘルスネットには、カフェインの代謝には個人差があり、敏感な人は就寝の5〜6時間前から控えたほうがよい、と書かれています。ただし、何時までなら大丈夫かという線は人によって違いますので、やめる・やめないを決める前に、飲んだ時刻と夜の様子を数日ぶん見比べてみるほうが確かだと思います。睡眠ガイド2023には、麦茶やそば茶など、カフェインを含まない飲みものに置きかえるという方法も挙げられています。
夜眠れないぶん、昼にしっかり寝てもよいですか。
この記事で参照した資料では、長い昼寝は夜の眠りを妨げうるものとして書かれており、夜の眠りの代わりになるとは書かれていません。昼に長く眠るほど、夜に回るぶんの眠気は減っていきます。そのうえで、昼の眠気が強く続くときや、日中の生活に支障が出ているときは、生活の工夫だけで抱えこまず、医療機関にご相談ください。
出典・参考
- 厚生労働省 e-ヘルスネット 快眠と生活習慣(「光浴と快眠 光で体内時計と整える」「その他の習慣と睡眠」の節)
- 厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023(PDF)/「睡眠と嗜好品について」30〜31ページ、高齢者版 推奨事項・19〜20ページ、「運動、食事等の生活習慣と睡眠について」27ページ
- 厚生労働省 睡眠対策
ご注意
この記事は一般的な情報をまとめたものであり、病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。アプリ「ひつじの添い寝」は医療機器ではなく、症状の改善や治療を行うものでもありません。
眠れない状態が続くとき、日中の生活に支障が出ているときは、ひとりで抱えこまず医療機関にご相談ください。