寝る前のお風呂は何時間前?入浴と眠気のタイミングの考え方
「寝る前のお風呂は、何時間前がいいのだろう」。この記事では、厚生労働省の資料に書かれている目安を確かめたうえで、寝る時刻からの逆算のしかたと、そのとおりにいかない日の考え方を整理します。湯温や長さについて書かれていることも、あわせてご紹介します。手元で確かめられなかったことは、確かめられなかったと書いています。
- 公的な資料に書かれている目安は「就寝の約1〜2時間前」であること
- 寝る時刻から逆算する方法と、逆算どおりにいかない日の受けとめ方
- 湯温・長さ・湯上がりの過ごし方について、資料に書かれていることと書かれていないこと
公的な資料には「就寝の約1〜2時間前」と書かれています
「寝る前のお風呂は、何時間前に入るとよいのか」。この問いには、公的な資料に目安が示されています。まず、その出どころから確かめておきます。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」には、良質な睡眠のための環境づくりの説明のなかで、次のように書かれています。
実生活下で実施された研究からも、就寝の約1〜2時間前に入浴した場合、しなかった場合に比べて速やかな入眠が得られることが報告されています。
(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」より)
同じ資料は、そのページの冒頭に置かれたポイントとしても、寝室は暑すぎず寒すぎない温度で、就寝の約1〜2時間前に入浴し身体を温めてから寝床に入ると入眠しやすくなる、とまとめています。
厚生労働省 e-ヘルスネットの「快眠と生活習慣」にも、ほぼ同じ時間が書かれています。
入浴のタイミングも重要です。就寝1~2時間前に入浴するのがもっとも効果的です(残念ながら朝や昼の入浴では睡眠改善効果がありません)。
(厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」より)
2つの資料が、どちらも「約1〜2時間前」を挙げています。この記事でご紹介できる数字は、ここまでです。「◯分前がいちばん良い」といった、これより細かい数字は扱いません。手元で確かめられないからです。
幅があること自体が、ひとつの答え
1〜2時間という言い方には、1時間ぶんの幅があります。この幅は、資料の書き手が迷ったから残っているというより、人や条件によって差があることをそのまま表しているのだと思います。
湯温、湯船に浸かる長さ、部屋の温度、その日の疲れ方。どれも人によって違いますし、同じ人でも日によって変わります。ですから、「20時47分に入る」といった細かい決め方より、「寝る時刻の1〜2時間前あたり」というゆるい枠で考えるほうが、続けやすく、外れても気になりにくいはずです。
上がってすぐではなく、少し時間をおく理由
「温めてから寝る」のなら、上がってすぐ寝床に入るほうがよさそうにも思えます。なぜ少し時間をおくことになっているのでしょうか。
睡眠ガイド2023は、からだの内部の温度(深部体温)の動きから説明しています。
就寝前に、手足の皮膚血流が増加することで体温が外部に放散され、深部体温が低下し始めると、入眠しやすい状態となります。
(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」より)
眠りにむかう時間と結びつけて説明されているのは、深部体温の高さそのものではなく、下がりはじめるという変化のほうです。お風呂は、いったん上げてから下がる、という流れをつくる出来事として登場します。上がった直後は、まだ下がりはじめる前の段階にあたります。
深部体温という言葉そのものについては、深部体温とはのページで、資料の記述をそのまま整理しています。
お風呂の役割は「温めること」だけではなく、「温めたあとに下がっていく流れをつくること」として説明されています。だから、上がった直後よりも、少し時間をおいてから寝床に入る形が目安になっています。
寝る時刻から逆算してみる
目安を自分の生活に当てはめると、次のようになります。表の数字は、上でご紹介した「約1〜2時間前」をそのまま引き算しただけのものです。
| 寝床に入る時刻 | 湯船から上がる目安 | 入りはじめる時刻の例 |
|---|---|---|
| 22時ごろ | 20時〜21時ごろ | 19時40分〜20時40分ごろ |
| 23時ごろ | 21時〜22時ごろ | 20時40分〜21時40分ごろ |
| 0時ごろ | 22時〜23時ごろ | 21時40分〜22時40分ごろ |
右の列は、湯船に20分ほどかかるとした場合の目安です。実際の入浴時間は人それぞれですから、ここは自分の平均に置きかえてください。なお、まん中の列には1時間ぶんの幅がありますが、あとで見る火照りの話をふまえると、迷ったときは早いほう(2時間前)に寄せておくほうが無理がありません。
この表をながめて「思っていたより早い」と感じた方は多いかもしれません。夕食、片づけ、翌日の支度。そのあいだにお風呂を入れようとすると、順番はかなり前に来ます。逆に言えば、夜の予定のなかでお風呂を後回しにしがちな人ほど、動かしがいのある部分だとも言えます。
逆算どおりにいかない日のほうが多い
とはいえ、この表のとおりに動ける日ばかりではありません。帰宅が遅くなる日、家族の順番を待つ日、子どもを寝かしつけてからようやく自分の番になる日。むしろ、そうでない日のほうが少ないという方もいると思います。
ここで気をつけたいのは、目安を守れているかどうかが、夜の気がかりに変わってしまうことです。「今日は間に合わなかった」と数えはじめると、寝床が採点の場所になります。目安は、動かせる日に思い出せばよいくらいのもので、届かない日は届かないままで差し支えありません。
湯温と長さについて書かれていること
時間だけでなく、湯温と長さについても記述があります。e-ヘルスネットの「快眠と生活習慣」から引きます。
例えば40℃の湯船に10〜15分ほど浸かれば、深部体温(体の深部にある脳や臓器などの温度)はすぐに上昇し始め、個人差はありますが入浴してから1時間ほどで0.8〜1.0℃ほど高くなります。
(厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」より)
同じページには、半身浴(腹部までを湯船につけ、約40℃のお湯で30分ほど汗をかく程度に入浴する)についての記述もあります。熱いお湯に短く、という方向ではなく、ぬるめのお湯にゆっくり、という書かれ方です。
上がったあとの時間についても、目安が書かれています。
一般的に、風呂上がりに汗をかき、体の火照りが引くのに2時間ほどかかります。それから寝床に向かいましょう。入浴後に火照りが長引く人は風呂の温度を少し下げるか、半身浴を行いましょう。
(同ページより)
ここは、先ほどの逆算表と食い違って見えるところです。資料の「約1〜2時間前」は入浴する時刻の目安、こちらの「2時間」は火照りが引くまでにかかる時間で、それぞれ別のことを言っています。表のまん中の列のうち1時間前寄りだと、寝床に入る時点でまだ火照りが残っていることがあります。ですから、迷ったときは長いほう(2時間前後)に寄せてください。手足の火照りが引いた感じがあれば、そこがその人の目安です。
湯温を下げる、という選択肢が示されているのが、実用的なところだと思います。「1〜2時間前に入れなかったから今日はだめ」ではなく、入る時刻を動かせない日は、湯温のほうを動かすという考え方ができます。
同じページには、布団に入ってからも放熱は続き、それは主に手足の先から行われるため、厚手の靴下や電気毛布で手足を温めすぎると放熱が妨げられることがある、とも書かれています。冷える季節に、つい足元を固めたくなる方は、頭の片すみに置いておくとよいかもしれません。
遅い時間にしかお風呂に入れない日
手元の資料には、「何時以降は入らないほうがよい」という書き方は見あたりませんでした。書かれているのは、あくまで「就寝の約1〜2時間前」という目安と、火照りが引くまでの時間です。ですからこの記事でも、遅い入浴を禁じるような書き方はしません。
そのうえで、資料に書かれていることから組み立てられる工夫を並べておきます。
- 湯温を少し下げる(資料が挙げているのは40℃前後です)
- 長く浸からず、のぼせない範囲で切り上げる
- 上がったあとは照明を落として過ごし、火照りが引くのを待つ
- 手足を布団の外に出しておける程度の寝具にする
- 間に合わない日は、時間のことを数えない
シャワーだけで済ませる日については、手元の資料でシャワーの場合の目安を確かめられませんでした。ですからこの記事では、「シャワーでも同じ」とも「シャワーでは意味がない」とも書きません。分かっているのは、資料が湯船に浸かる場合について書いている、ということだけです。
お風呂のあとの1時間を、どう過ごすか
逆算して入浴を終えたあと、寝床に入るまでに1〜2時間ほどの時間が生まれます。この時間の過ごし方についても、睡眠ガイド2023に記述があります。
そのためには、寝床に就く前に少なくとも1時間は家事や仕事、勉強に追われずリラックスする時間を確保することが有効です。
(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」より)
お風呂を先に済ませておくと、この1時間がそのまま確保できます。逆に、入浴を後ろに寄せるほど、上がったあとにやることが残り、火照りが引くころには日付が変わっている、ということになりがちです。入浴の時刻をずらす効き目は、お風呂そのものより、そのあとの時間の使い方に出るのかもしれません。
この1時間に光の強い画面を見続けると、体内時計の側から見ると逆向きの合図になります。夜の光との付き合い方は寝る前のスマホとどう付き合う?に、光と眠気のつながりは体内時計とはにまとめています。
湯上がりの1時間は、手持ちぶさたになりやすい時間でもあります。画面のかわりに音を流しておくのは、そのすき間の埋め方のひとつです。眠るための音の図鑑では、雨や波、たき火などの音の特徴をまとめています。流すときは、音量を小さめにして、時間がきたら自動で止まるようにしておくと、止めるために起き上がらずに済みます。
お風呂を「その日の終わりの合図」として使う方もいます。同じ順番をくり返すことで区切りをつくる考え方は、入眠儀式とはで整理しています。
最後に。入浴の時刻を工夫しても、寝つけない状態が続くとき、日中の生活に支障が出ているときは、ひとりで抱えこまず医療機関にご相談ください。時間の逆算は、あくまで生活の側からできる小さな調整です。
よくあるご質問
お風呂は寝る何時間前に入るとよいですか。
厚生労働省の健康づくりのための睡眠ガイド2023には、就寝の約1〜2時間前に入浴し身体を温めてから寝床に入ると入眠しやすくなる、と書かれています。e-ヘルスネットの快眠と生活習慣にも、就寝1〜2時間前という同じくらいの目安が示されています。ただし個人差がありますので、生活の時間帯やその日の体調に合わせて、無理のない範囲でお試しください。
帰りが遅く、寝る直前にしかお風呂に入れません。
手元の資料には、何時以降は入らないほうがよいという書き方は見あたりませんでした。e-ヘルスネットには、火照りが長引く人は風呂の温度を少し下げるか半身浴を行いましょう、と書かれていますので、入る時刻を動かせない日は湯温や長さのほうを控えめにする、という考え方ができます。間に合わなかった日に、時間のことを数えないことのほうが大切だと思います。
シャワーだけの日は、どう考えればよいですか。
この記事で参照した資料は、湯船に浸かる場合について書かれており、シャワーだけの場合の目安は確かめられませんでした。ですから、シャワーでも同じとも、シャワーでは意味がないとも書けません。分かっている範囲でできることとして、寝床に就く前の1時間を、家事や仕事に追われずに過ごせるよう空けておく、という記述のほうを手がかりにしてみてください。
出典・参考
- 厚生労働省 e-ヘルスネット 快眠と生活習慣(「入浴と快眠 入浴の時間がポイント」の節)
- 厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023(PDF)/「良質な睡眠のための環境づくりについて」23ページ、「運動、食事等の生活習慣と睡眠について」27ページ
- 厚生労働省 睡眠対策
ご注意
この記事は一般的な情報をまとめたものであり、病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。アプリ「ひつじの添い寝」は医療機器ではなく、症状の改善や治療を行うものでもありません。
眠れない状態が続くとき、日中の生活に支障が出ているときは、ひとりで抱えこまず医療機関にご相談ください。