寝る前のスマホとどう付き合う?やめられない夜の現実的な工夫
寝る前のスマートフォンを控えたいのに、布団に入ると手が伸びてしまう。使う時間、画面の明るさ、置き場所、通知の設定から、見直せる点を探します。
- 光と体内時計について、厚生労働省の資料に書かれていること
- 「見ない」の手前に置ける工夫(明るさ・距離・通知・置き場所)
- 画面を消したあとの手持ちぶさたを、どう埋めるか
「寝る前にスマホを見ない」が続かない理由
枕元で充電しながら、あと五分だけ、と思って画面をつける。気がつくと三十分が経っていて、明るくなった目のまま天井を見ている。よくある夜だと思います。
これを「意志が弱いから」で片づけると、話はそこで終わります。けれど夜のその時間は、一日のなかで唯一、誰にも呼ばれない時間になっている人が少なくありません。手放したくないと感じるのは自然なことです。そして「見ない」という一つの目標だけを立てると、守れなかった夜には自己嫌悪だけが残ります。
同じように見るとしても、目に入る光を減らす。手を伸ばしにくい場所に置く。通知に呼ばれないようにする。全部やめるのは無理でも、このうち一段だけなら、今夜から変えられるかもしれません。先に、光と体のリズムについて公的な資料に何が書かれているかを見ておきます。
ここに書くのは、公開されている資料の内容と、暮らしのなかでの工夫です。眠りについての医学的な助言をするものではありません。夜のすごし方に気がかりが続くときは、記事末尾のご注意もあわせてお読みください。
光と体内時計について、公的な資料に書かれていること
厚生労働省が公開している「健康づくりのための睡眠ガイド2023」に、光と体内時計についての記述があります。同ガイドによると、体内時計の中枢は脳の視床下部にある視交叉上核で、外部環境と体内環境を同期する役割を担っており、その同期には主に光の情報を利用しているとされています。体のリズムは、光を手がかりにしているということです。
夜については、こう書かれています。就寝の約2時間前から、睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌が始まる。それ以降に照明やスマートフォンの強い光を浴びると、メラトニンの分泌が抑えられることから、睡眠・覚醒リズムが遅れ、入眠が妨げられることが報告されている——。
同ガイドによると、光の色みも関係します。同じ光の強さであっても、460〜480ナノメートル付近の短波長の光、いわゆるブルーライトが最も強く体内時計に影響を及ぼすことがわかっており、近年の照明器具やスマートフォンにはLEDが使われて、この短波長の光が多く含まれています。そのため同ガイドは、寝室にスマートフォンやタブレット端末を持ち込まず、できるだけ暗くして寝ることが良い睡眠に寄与する、とまとめています。
眠っているあいだについても、低い照度の光でも中途覚醒の時間を増やし、睡眠の効率を下げることが報告されている、とあります。夜中に届いた通知で画面がぱっと光る、というのは、この話にあてはまります。そして同ガイドのQ&Aは、光環境の要点として「明るさ(照度)」「波長(ブルーライト)」「時間帯」の三つを挙げています。
夜の光と、朝・日中の光は役割がちがう
同ガイドは、朝と日中の光についても書いています。起床後に朝日の強い光を浴びることで体内時計はリセットされ、睡眠・覚醒リズムが整い、脳の覚醒度は上昇する。日中に光を多く浴びることで夜間のメラトニンの分泌量が増加し、体内時計が調節され、入眠が促進される。これらは1,000ルクス以上の照度の光を日中に浴びることで得られる——とされています。
同ガイドには、現代社会では夜間に照明の光を浴びることは避けられないとしたうえで、日中に光を多く浴びることで、夜間の照明の光による体内時計への悪影響が減少することが報告されている、と書いています。夜を完璧にできなかった日でも、打つ手がなくなるわけではありません。朝カーテンを開ける、昼に外に出る。そちらから手をつける道も残されている、ということです。
全部やめる手前にできる、小さな工夫
ここからは実際の工夫です。「明るさ」「波長」「時間帯」の三つに、通知と置き場所を足して並べます。上から順にやる必要はありません。今夜できそうなものを一つ選ぶ読み方で十分です。
| 気になるところ | できること | もとにした記述 |
|---|---|---|
| 画面が顔に近い | 腕を伸ばして持つ。寝そべったまま顔の上で見ない | 「スマートフォンの方がより近距離で画面を直視する」(Q&A) |
| 画面がまぶしい | 明るさを下げる。自動調整に任せきりにしない | 「夜間の使用時は明るすぎないように調節することが必要」(Q&A) |
| 部屋が明るい | 先に部屋の照明を落とす | 「就寝時には照明は消すように心がけましょう」(Q&A) |
| 通知で目が覚める | 音・振動・画面の点灯を止める。画面を伏せて置く | 「低い照度の光でも中途覚醒時間を増加させ、睡眠の効率を下げる」 |
| 見はじめると止まらない | 寝床から手の届かない場所に置く | 「寝室には……持ち込まず、できるだけ暗くして寝る」 |
このうちいちばん手間が少ないのは画面を伏せて置くことだと思います。伏せておけば、通知が来ても光が視界に入りません。そして次に手を伸ばすとき、画面をそのまま見るのではなく、いったん裏返す動作が挟まります。その一拍があるかないかで、ずいぶん変わります。
「ブルーライトカットなら大丈夫」とは書かれていない
夜間モードにしているから平気、と考えたくなります。ただ同ガイドのQ&Aには、光の色を変えられるLED照明について、現在使われているLED照明は青色発光ダイオードを使用していることから調光しても短波長光(ブルーライト)が多く含まれる、夜間の使用時は明るすぎないように調節することが必要である、と書かれています。
これは照明についての記述で、端末の夜間モードそのものを評価したものではありませんし、端末の設定についての記述をこの記事では示せません。ただ少なくとも、色みを変えたのだから見ても差し支えないという書かれ方はされていません。色みの設定を入れたうえで明るさも下げ、見る時間も短くする。一つの設定に全部を任せないほうが実際的だと思います。
通知を静かにしておく
眠ったあとに届く通知は、音と振動だけでなく、画面の点灯も連れてきます。寝ている間の低い照度の光については、同ガイドに記述があるとおりです。起こしにくる要素を、いくつも持っていることになります。
ここは意志の力の出番がなく、設定を一度変えるだけで済みます。就寝の時間帯におやすみモードのたぐいを入れる。どうしても切れない連絡があるなら、その相手だけ例外にしておく。自分が見ないようにするより、向こうから呼ばれないようにするほうが疲れません。我慢は毎晩し直す必要がありますが、設定は一度で済むからです。
「見ない」より「取りに行きにくくする」
同ガイドは、寝室にスマートフォンやタブレット端末を持ち込まず、できるだけ暗くして寝ることが良い睡眠につながる、としています。こども版ではさらに、デジタル機器は寝室には持ち込まず、電源を切って別の部屋に置いておきましょう、と書かれています。
目覚まし時計として使うため寝室に置く場合は、手を伸ばせば届く場所を避ける方法もあります。
- 充電の場所を、寝床から手が届かない位置(部屋の反対側など)に移します
- 目覚ましだけを別の機械にできるなら、そうします
- 布団に入る前に、必要な操作(アラーム、翌朝の予定、流す音の準備)を済ませておきます
- 画面は伏せて置きます。手に取るまでに一動作増やします
やっているのは、意志の勝負を手順の勝負に置きかえることです。「見たいけれど我慢する」を毎晩繰り返すのは消耗しますが、「起き上がらないと届かない」という状態は、こちらが何もしなくても成り立っています。
関連して、同ガイドの高齢者版には、寝床で考えごとをするのは避ける、なかなか眠れないときはいったん寝床を離れ、静かで暗めの場所で眠気が訪れるまで安静に過ごしてから寝床に戻る、という記述があります。寝床は眠るための場所であるという結びつきを保つ考え方として読めます。眠れないまま寝床で画面を見つづけると、寝床は「起きている場所」にもなっていきます。
画面を消したあとの、手持ちぶさたをどう埋めるか
いちばんつらいのは、画面を消した直後の数分です。急に手が空く。目は開いている。静かすぎて、かえって今日の失敗や明日の予定が浮かんでくる。そして、もう一度手が伸びます。
ですから、やめるだけでなく、その時間に置くものを先に決めておくほうが現実的です。暗いまま、目を閉じたままでもできることがよいので、音は候補になります。雨、波、たき火、静かな子守唄。どれも、次に何が来るかを自分で考えなくてよい音です。
ただし、気をつけたいこともあります。同ガイドの高齢者版は、睡眠を妨げうる寝室環境の例としてテレビやラジオをつけながら寝ること、電気をつけたまま寝ることを挙げ、気づかないうちに良眠の妨げとなっている可能性がある、としています。「音を流したまま朝まで」は、この指摘にあてはまります。そこで、次のようにしておきます。
- 流す音とタイマーは、布団に入る前に決めておきます。暗い部屋で選び始めると、結局その画面の光を浴びます
- 時間がきたら自動で止まるようにします。止めるために起き上がらずにすみます
- 音量は「聞こえるか聞こえないか」くらいまで小さくします
- 途中で大きく変化しない、同じ調子の続く音を選びます
- 画面の明るさは最小に。表示を暗くできるなら、そうしておきます
- 同居の方がいるときは、翌朝たずねて音量を決めておくと安心です
それでも見てしまう夜はあります。そういう夜があっても、翌朝カーテンを開ける、日中に少し外の光を浴びる、という手は残っています。ひと晩ごとに勝ち負けを決めなくてよい。同ガイドの朝と日中の記述から読み取れる、いちばん気持ちの楽になる部分だと思います。
よくあるご質問
ブルーライトカットや夜間モードにしていれば、寝る前に見ても大丈夫ですか。
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」のQ&Aでは、光の色を変えられるLED照明について、現在使われているLED照明は青色発光ダイオードを使用していることから調光しても短波長光(ブルーライト)が多く含まれる、夜間の使用時は明るすぎないように調節することが必要である、と説明されています。設定を変えれば見ても差し支えなくなる、という書かれ方はしていません。色みだけでなく、明るさと見る時間もあわせて考えるのが実際的です。
スマホを目覚ましに使っているので、寝室の外には置けません。
同ガイドは、寝室にスマートフォンやタブレット端末を持ち込まず、できるだけ暗くして寝ることが良い睡眠につながる、としています。ただ、生活の事情はそれぞれです。寝室に置く場合は、寝床から手が届かない位置に充電場所を移す、画面を伏せて置く、通知の音と振動と画面の点灯を止めておく、といったところからで構いません。
パソコンやテレビなら、スマホより影響は小さいのでしょうか。
同ガイドのQ&Aでは、端末の設定条件にもよるとしたうえで、一般的にスマートフォンの方がより近距離で画面を直視するため、パソコンよりもスマートフォンの方が眼に入る光の量は多いと考えられる、と説明されています。テレビなら差し支えない、という説明ではありません。同ガイドの高齢者版では、テレビやラジオをつけながら寝ることも、気づかないうちに良眠の妨げとなっている可能性がある寝室環境として挙げられています。
出典・参考
- 厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023(PDF)「良質な睡眠のための環境づくりについて」「高齢者版」「こども版」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット 健やかな睡眠と休養
- 厚生労働省 睡眠対策
ご注意
この記事は一般的な情報をまとめたものであり、病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。アプリ「ひつじの添い寝」は医療機器ではなく、症状の改善や治療を行うものでもありません。
眠れない状態が続くとき、日中の生活に支障が出ているときは、ひとりで抱えこまず医療機関にご相談ください。