朝の光はどれくらい浴びればいい?曇りの日と、カーテンの開け方
「朝は光を浴びましょう」とはよく聞きますが、どれくらい浴びればよいのかは、あまり書かれていません。この記事では、厚生労働省の資料にある記述を確かめたうえで、カーテンの開け方や窓ぎわの使い方といった、時間を数えずに続けられる形に置きかえて整理します。曇りの日についても、分かっていることと分かっていないことを分けて書きます。
- 朝の光が「その日の夜」のための調整として説明されていること
- 資料に書かれている明るさの目安と、「何分浴びる」という数字が見あたらないこと
- 曇りの日・休みの日の朝の考え方と、夜の光が逆向きにはたらくこと
なぜ「朝の光」の話が出てくるのか
眠りの話になると、たいてい「朝は光を浴びましょう」という一文が出てきます。夜の話をしているのに、なぜ朝が出てくるのでしょうか。厚生労働省 e-ヘルスネットの「快眠と生活習慣」には、こう書かれています。
ヒトの体内時計の周期(1日の長さ)は平均すると24時間より長いため、毎日時刻調整をしなければ徐々に睡眠リズムが遅れてしまいます。朝に浴びた光は体内時計の時刻を早める(朝型にする)作用があります。
(厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」より)
時計を毎日わずかに進めておかないと、少しずつ後ろへずれていく。その調整役として光が挙げられている、という話です。だから朝の光は、朝のための工夫ではなく、その日の夜のための工夫として登場します。
体内時計という言葉そのものについては、体内時計とはのページで、資料の記述をそのまま整理しています。
資料に書かれている「明るさ」の目安
では、どれくらい浴びればよいのでしょうか。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」には、明るさについての数字がひとつだけ出てきます。
起床後に朝日の強い光を浴びることで体内時計はリセットされ睡眠・覚醒リズムが整い、脳の覚醒度は上昇します。日中に光を多く浴びることで夜間のメラトニン分泌量が増加し、体内時計が調節され、入眠が促進されます。これらの効果は1,000ルクス以上の照度の光を日中に浴びることで得られます。
(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」より)
1,000ルクスと言われても、ふだんの生活で照度を測る機会はまずありません。ただ、この数字が「日中に、それなりに明るいところにいること」を指していることは読み取れます。同じ資料は、朝目覚めたら部屋に朝日を取り入れ、日中はできるだけ日光を浴びるように心がけること、ともまとめています。
メラトニンという言葉が出てきましたが、これは眠りと体内時計にかかわるホルモンの名前です。くわしくはメラトニンとはにまとめています。
「何分浴びればいい」という数字は見あたりません
この記事を書くにあたって資料を読みましたが、「朝◯分浴びましょう」という数字は見あたりませんでした。書かれているのは、起床後に光を浴びること、日中はできるだけ日光を浴びること、そして日中に1,000ルクス以上という明るさの目安です。
ですからこの記事でも、「15分」「30分」といった時間は書きません。かわりに、時間を数えなくても続く形を考えるほうが実用的だと思います。毎朝カーテンを開ける、朝の用事を窓ぎわで済ませる。分数を数えるより、そのほうが忘れにくいはずです。
資料が挙げているのは「起床後に浴びること」と「日中はできるだけ浴びること」。時間の長さより、毎日おなじ時間帯にくり返せるかどうかのほうが、生活のなかでは扱いやすい目安になります。
まず、カーテンを開けるところから
いちばん手前にある行動は、たぶんこれです。e-ヘルスネットにも、そのまま書かれています。
寝つきが悪い、朝起きづらい人は、起床後から午前中に多くの光を浴びるように心がけましょう。起きたらまずカーテンを開けて自然の光を部屋の中に取り込んでください。
(厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」より)
「起きたらまず」という順番が書かれているのが、この一文のいいところだと思います。顔を洗ってから、着替えてから、と後ろに置くほど、忘れる余地が生まれます。枕元からいちばん近い動作にしておくほうが続きます。
寝室にカーテンを開ける窓がない、あるいは開けても隣の建物しか見えない、という場合もあります。そのときは、朝いちばんに移動する部屋——台所や洗面所——のカーテンや窓を、開ける係にしてしまうという手もあります。場所はどこでもよくて、順番が前のほうにあることが大事です。
窓ぎわに、朝の用事をひとつ置く
もうひとつ、時間を数えずに済む方法があります。朝どうせやることを、窓ぎわに移してしまうやり方です。
- 朝食を、窓に近い席で食べる
- コーヒーやお茶を、窓ぎわに立って飲む
- 洗濯物を干す、ごみを出す、といった外に出る用事を午前に置く
- 通勤・通学の途中で、地下や車内ではなく外を歩く区間をつくる
どれも新しい習慣を足していません。すでにやっていることの場所を、少し窓のほうへ寄せているだけです。新しいことを始めるより、置き場所を変えるほうが、続く見込みは高いと思います。
曇りの日、雨の日はどうするか
晴れた朝ばかりではありません。ここで正直に書いておくと、曇りの日や雨の日の屋外がどれくらいの明るさになるのかを示す数値は、この記事では確かめられませんでした。ですから「曇りでも十分です」とも「曇りでは足りません」とも書けません。
確かめられた範囲で言えることは、資料が勧めているのが天気ではなく段取りのほうだということです。起床の時刻を一定にする、起きたらカーテンを開ける、日中はできるだけ日光を浴びる。どれも、晴れているかどうかで変わらない部分です。
睡眠ガイド2023のよくある質問には、光環境について次のようにまとめられています。
「明るさ(照度)」「波長(ブルーライト)」「時間帯」に配慮した光環境が重要です。起床後から日中はできるだけ明るい光を浴び、就寝前はできるだけブルーライトを含む明るい光を避けることが、良い睡眠につながります。
(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」より)
天気が悪い日は、明るさの部分は手の届かないところにあります。それでも「時間帯」——いつ浴びるか、いつ避けるか——のほうは、自分で決められます。天気の悪い朝ほど、カーテンを開ける係と、夜の照明を落とす時刻のほうに気を配る、というくらいの受けとめ方でよいのではないかと思います。
休みの日の朝も、同じ時刻に
平日はどうにか起きられても、休みの日はつい遅くまで寝てしまう。よくあることですし、疲れているのですから当然でもあります。ただ、光の話としては、休みの日の朝がいちばんずれやすい場所になります。
睡眠ガイド2023のこども版には、日光浴について次のように書かれています。
週末休日も普段と同じ時間に起床して、日光を浴びましょう。
(厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」こども版より)
同じ資料は、大人については、平日の睡眠不足を休日に取り戻そうとする「寝だめ」の習慣について触れ、毎週末に時差のある地域へ旅行をくり返すことに似ていることから、社会的時差ボケとも呼ばれる、と説明しています。
とはいえ、休みの日に平日と同じ時刻に起きるのは、なかなかの難題です。全部そろえようとせず、「いつもより2時間以上は遅くしない」くらいの上限を決めておくほうが、現実的かもしれません。起きたあと、また少し横になるかどうかは別の話として、カーテンだけは同じ時刻に開ける、という分け方もあります。
夜のほうから整えたい方は夜更かしをやめたい人へを、眠れないまま朝を迎えてしまった日の過ごし方は眠れないまま朝になったときをご覧ください。
夜の光は、逆向きにはたらく
朝の光の話は、夜の光の話とセットになっています。e-ヘルスネットの同じページには、こう書かれています。
逆に夕方から深夜にかけて浴びた光は体内時計の時刻を遅らせる(夜型にする)作用があり、夜が更けるほどその力は強くなります。
(厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」より)
朝に前へ、夜に後ろへ。同じ光でも、浴びる時間帯によってはたらく向きが変わる、という説明です。朝だけがんばっても、夜に明るい画面を長く見ていれば、引っぱり合いになります。夜の画面との付き合い方は寝る前のスマホとどう付き合う?に、湯上がりからの時間の使い方は寝る前のお風呂は何時間前?にまとめています。
夜、照明を落としたあとの手持ちぶさたを埋める方法として、音を流しておくやり方もあります。眠るための音の図鑑では、雨や波、たき火などの音の特徴をまとめています。流すときは音量を小さめにして、時間がきたら自動で止まるようにしておくと、止めるために起き上がらずに済みます。
なお、目や皮ふの状態によって、医師から日光や強い光を避けるよう指示されている方もいます。その場合は、この記事の一般的な話より、医師の指示が優先します。また、朝どうしても起きられない状態や、眠れない状態が続くとき、日中の生活に支障が出ているときは、光の工夫だけで抱えこまず、医療機関にご相談ください。
よくあるご質問
朝の光は、何分くらい浴びればよいですか。
この記事で参照した資料のなかに、朝に何分浴びればよいという数字は見あたりませんでした。書かれているのは、起床後に朝日を浴びること、日中はできるだけ日光を浴びること、そして日中に1,000ルクス以上の照度の光を浴びることで効果が得られる、という記述です。時間を数えるより、毎朝おなじ時刻にカーテンを開けるといった、くり返せる形にするほうが続けやすいと思います。
曇りの日や雨の日は、どうすればよいですか。
曇りや雨の日の屋外がどれくらいの明るさになるのかを示す数値は、この記事では確かめられませんでした。ですから、曇りで十分とも、曇りでは足りないとも書けません。天気に左右されない部分、つまり起床の時刻を一定にすること、起きたらカーテンを開けること、夜の照明を落とす時刻を決めておくことのほうを手がかりにしてみてください。
部屋の照明を明るくすれば、朝日のかわりになりますか。
健康づくりのための睡眠ガイド2023には、太陽光は睡眠・覚醒リズムの調整に最も強い影響力をもっている、と書かれています。室内の照明がどこまで代わりになるかを示す数値は確かめられませんでしたので、この記事では同じとは書きません。なお、医師から日光や強い光を避けるよう指示されている場合は、その指示が優先します。
出典・参考
- 厚生労働省 e-ヘルスネット 快眠と生活習慣(「光浴と快眠 光で体内時計と整える」の節)
- 厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023(PDF)/「良質な睡眠のための環境づくりについて」23ページ、高齢者版 よくある質問と回答 21ページ、こども版 推奨事項
- 厚生労働省 睡眠対策
ご注意
この記事は一般的な情報をまとめたものであり、病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。アプリ「ひつじの添い寝」は医療機器ではなく、症状の改善や治療を行うものでもありません。
眠れない状態が続くとき、日中の生活に支障が出ているときは、ひとりで抱えこまず医療機関にご相談ください。