朝どうしても起きられない|アラームを増やす前に見直すこと
目覚ましを2つにして、それでも起きられないから3つにする。朝どうしても起きられない日が続くと、工夫はたいていこの方向へ伸びていきます。けれども、増やしたわりに朝が楽にならなかった、という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。この記事では、目覚ましの数を増やす前に見直したい点を、朝の光・寝る時刻・起きぎわのぼんやりという3つに分けて整理します。あわせて、相談したほうがよい場合の目安も書いておきます。
- 目覚ましを増やしても朝が楽になりにくいのはなぜか、という考え方
- 朝の光と夜の光が体内時計に対して逆向きに働く、と説明されていること
- 起きぎわの過ごし方の決め方と、医療機関に相談したほうがよい場合の目安
目覚ましを増やしても、朝が楽になりにくいのはなぜか
目覚ましを2つにして、それでも起きられないから3つにする。スヌーズの間隔を短くして、スマートフォンを部屋の反対側に置いてみる。朝どうしても起きられない日が続くと、たいていはこの方向に工夫が伸びていきます。けれども、増やしたわりに朝が楽にならなかった、という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
音を増やすという工夫は、「起こす力を強くする」方向の対処です。それに対して、起きられない朝の背景にあるのはたいてい、眠り足りていないか、体のリズムが後ろへずれているか、目覚めた直後のぼんやりが長引いているか——このどれかです。どれも、音を大きくしたところで動かない部分にあります。
この記事では、目覚ましの数を増やす前に見直したい点を3つに分けて整理します。順番は、手をつけやすいほうから並べてあります。
「起きられない」を、3つに分けてみる
ひとくちに「起きられない」と言っても、中身は同じではありません。次のどれに近いかを考えてみると、手のつけどころが変わります。
- そもそも眠る時間が足りていない。寝床に入る時刻が遅く、朝は決まった時刻に起きなければならない。足りない分がたまっていく形です(睡眠負債)
- 眠る時間はとれているのに、時間帯が後ろへずれている。休みの日は昼まで眠れてしまうが、平日の朝はどうしても起きられない、という形です
- 目は覚めているのに、頭が動き出さない。起きてはいるものの、しばらく使いものにならない、という形です
1つめは寝る時刻の話、2つめは光と体内時計の話、3つめは起きぎわの過ごし方の話になります。以下、この順でたどっていきます。
見直すところ1 朝の光
いちばん手をつけやすく、しかも見落とされやすいのが、朝の光です。厚生労働省のe-ヘルスネット「快眠と生活習慣」には、次のように書かれています。
ヒトの体内時計の周期(1日の長さ)は平均すると24時間より長いため、毎日時刻調整をしなければ徐々に睡眠リズムが遅れてしまいます。朝に浴びた光は体内時計の時刻を早める(朝型にする)作用があります。
(厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」より)
ここで書かれているのは、意志の持ち方ではなく、体内時計という体のしくみの話です。放っておくとリズムは少しずつ後ろへずれていく。それを毎朝引き戻しているのが、朝に目へ入る光だ、という説明になっています。
この記事で押さえておきたいのは、その一点だけです。起き上がって顔を洗い、着替えて、朝食をとって、それから外に出る。この順番だと、光が目に入るのは家を出るときになります。光の入る動作をいちばん前に置く——寝ぼけたままでも手が届くように、寝る前にカーテンの位置を確かめておく。窓のそばに寝ていない場合は、部屋の照明を先につけるだけでもかまいません。
どれくらいの明るさを、どのくらい浴びればよいのかは、朝の光はどれくらい浴びればいい?にまとめています。資料に出てくる明るさの目安や、窓ぎわに朝の用事をひとつ置くやり方は、そちらをご覧ください。
くもりの日や、日の出前に起きる日は
冬の朝や、日の出より前に起きる日は、外の光をあてにできません。その場合は、部屋の照明をふだんより明るくして過ごす形になります。カーテンを開ける動作は、外が暗くても続けておいてかまいません。空が白んできたときに、その光がそのまま入ってきます。天気の悪い日の考え方は朝の光はどれくらい浴びればいい?にまとめています。
勤務の時間帯が一定でない方は、朝という言い方そのものが当てはまりにくいと思います。その場合の光との付き合い方は、夜勤・交代勤務の眠り方にまとめています。
見直すところ2 起きる時刻ではなく、寝る時刻
朝起きられないとき、私たちは「起きる時刻」ばかりを見てしまいます。けれども動かせるのは、たいてい前の晩のほうです。起きる時刻が決まっているなら、そこから逆算して、寝床に入る時刻を決めるほかありません。
そして、寝る時刻を後ろへ押しているものの正体は、多くの場合、夜の光です。同じページには、こう書かれています。
逆に夕方から深夜にかけて浴びた光は体内時計の時刻を遅らせる(夜型にする)作用があり、夜が更けるほどその力は強くなります。夕方以降でも家庭照明やテレビ、スマートフォンやタブレットなどの液晶画面から光が出ています。
(厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」より)
朝の光が時刻を前へ引き、夜の光は後ろへ押す。朝だけを直そうとして夜をそのままにしておくと、引く力と押す力が毎日ぶつかることになります。夜の側でできることは、部屋の照明を落とす、画面の明るさを下げる、見る時間そのものを短くする、といったところです(寝る前のスマホとどう付き合う?)。
「早く寝ればいいのは分かっている」という気持ちも、よく分かります。分かっていても動かないのは、意志の問題というより、終わりの合図が決まっていないからかもしれません。何時になったらこれをして終わりにする、という区切りの決め方は、夜更かしをやめたい人へにまとめています。
朝の光は体内時計の時刻を早める方向に、夜の光は遅らせる方向に働くと説明されています。朝だけ、夜だけを直そうとするより、両方を少しずつ動かすほうが、ぶつかり合いが減ります。
見直すところ3 起きぎわのぼんやり
目覚ましは聞こえていて、止めた記憶もある。それでも起き上がれない、あるいは起き上がったのに頭が動き出さない。この状態には睡眠慣性という呼び名があります。病気の名前ではなく、だれにでも起こる状態を指すための言葉です。
資料では、眠りが深まったところから起きたときに強く出やすいと説明されています。ここを短くする決め手のような方法は、残念ながらありません。できるのは、長引かせにくくすることのほうです。
- 目覚ましを止めたら、その場で足首を動かし、片足を床につけます。少し動かしておくと、同じ姿勢のまま留まりにくくなります
- カーテンを開けます。前の章のとおり、明るさは目覚めの側に働くと説明されています
- 「もう少し」を何度も繰り返さないようにします。繰り返しの扱い方は二度寝はしていい?にまとめています
- 顔を洗う、白湯を飲むなど、毎朝同じ動作をひとつ置きます。迷う場面が減ります
どれも小さなことばかりですが、共通しているのは「朝に判断する回数を減らす」という一点です。起きぎわは、一日のうちでいちばん判断しにくい時間帯です。そこで意志の強さを求めるより、前の晩のうちに決めておくほうが、実際にはうまくいきます。
今日の一日に落としこむ
3つの見直しどころを、時間帯ごとに並べ直すと次のようになります。全部を一度にやろうとせず、まずは上から1つか2つで十分です。
| 時間帯 | やってみること | ねらい |
|---|---|---|
| 起きた直後 | まずカーテンを開ける。窓が遠ければ部屋の照明をつける | 光が目に入る時刻を早めます |
| 起きぎわ | 片足を床につける。同じ動作を毎朝ひとつ置く | 判断する場面を減らします |
| 日中 | 昼寝をするなら長くなりすぎないよう、先に目覚ましをかけておく | 夜に眠りにくくなるのを避けます |
| 夕方以降 | 照明を落とし、画面の明るさを下げる | 夜の光が時刻を後ろへ押す力をやわらげます |
| 寝る前 | 翌朝のカーテンの位置と、目覚ましの置き場所を決めておく | 朝に考えることを前の晩へ移します |
1週間ほど続けてみて、変わらないようなら、そこで自分を責めなくてかまいません。次の見出しに進んでください。
相談したほうがよい場合
ここまでは、生活の工夫でできる範囲の話です。工夫を続けても朝どうしても起きられない状態が続くとき、次のようなことが重なっているときは、ひとりで抱えこまずに医療機関にご相談ください。
- 十分な時間眠っているはずなのに、朝起きられない日が何週間も続いている
- 遅刻や欠勤、欠席が重なり、仕事や学校に支障が出ている
- 日中の強い眠気で、運転や作業が危ないと感じることがある
- 気分の落ちこみや食欲の変化など、眠り以外のことも一緒に気になっている
受診するほどではないと感じるときでも、健康診断のときに一言たずねてみる、学校や職場の相談窓口を使ってみる、といった入口があります。眠りについての一般的な情報は、厚生労働省が公開しています(ページ末尾の「出典・参考」をご覧ください)。
夜の側でできる、小さな用意
朝の話をしてきましたが、動かせる部分の多くは前の晩にあります。とはいえ「早く寝る」と決めるだけで寝つけるなら、はじめから困ってはいません。寝床に入ってから何をするかを、あらかじめ決めておくほうが現実的です。
そのひとつが、音にまかせてしまうことです。雨の音、波の音、たき火の音、静かな子守唄。どれも、次に何が来るかを自分で考えなくてよい音です。眠るための音の図鑑では、音の種類ごとに特徴をまとめています。
- 音量は「聞こえるか聞こえないか」くらいまで小さくします
- 途中で大きく変化しない、同じ調子の続く音を選びます
- 時間がきたら自動で止まるようにしておき、止めるために起き上がらなくてよいようにします
- イヤホンで長い時間流すときは、音量と耳への負担に気をつけます
- 朝の目覚ましは、音を流す道具とは別に用意しておきます
目覚ましの数を増やすのは、いちばん最後でかまいません。まずはカーテンをひとつ開けるところから。明日の朝が劇的に変わるわけではありませんが、押されっぱなしだった時刻が、少しずつ前へ戻ってくることがあります。
よくあるご質問
目覚ましをたくさんかけておくのは、やめたほうがよいですか。
やめなければならない決まりはありません。ただ、鳴らす回数を増やすほど、起きるかどうかの判断を何度もやり直すことになります。回数を減らして、鳴ったら足を床につける、カーテンを開けるといった体を動かす動作をひとつだけ決めておくほうが、迷いが少なくなります。数を増やす工夫は、光と寝る時刻を見直したあとの最後の手段くらいに考えておくとよいと思います。
日の出より前に起きなければなりません。朝の光はどうすればよいですか。
外が暗い時間帯であれば、部屋の照明をふだんより明るくして過ごす形になります。厚生労働省のe-ヘルスネット「快眠と生活習慣」では、光を浴びることを「光浴」と呼び、日光だけでなく人工照明も含めて説明しています。カーテンを開ける動作は、外が暗くても続けておいてかまいません。空が明るくなってきたときに、その光がそのまま部屋へ入ります。
毎朝つらくて、遅刻が続いています。どうすればよいでしょうか。
生活の工夫でできることには限りがあります。十分な時間眠っているはずなのに朝起きられない日が続いているとき、遅刻や欠勤が重なって仕事や学校に支障が出ているとき、日中の強い眠気で危ないと感じることがあるときは、ひとりで抱えこまずに医療機関にご相談ください。健康診断のときにたずねてみる、職場や学校の相談窓口を使ってみる、といった入口もあります。
出典・参考
- 厚生労働省 睡眠対策
- 厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023(PDF)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット 快眠と生活習慣
- 厚生労働省 e-ヘルスネット 健やかな睡眠と休養
ご注意
この記事は一般的な情報をまとめたものであり、病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。アプリ「ひつじの添い寝」は医療機器ではなく、症状の改善や治療を行うものでもありません。
眠れない状態が続くとき、日中の生活に支障が出ているときは、ひとりで抱えこまず医療機関にご相談ください。