大人が子守唄で眠る|メロディのある音が向く時間帯
雨の音や波の音では物足りない、けれどふつうの音楽では意識が起きてしまう。そのあいだにあるのが子守唄です。子ども向けの音というイメージが強い音ですが、眠る前に流す音として選び直してみると、環境音ともふつうの音楽とも違う性質が見えてきます。このページでは、子守唄のつくりと、メロディのある音が向く時間帯を整理しました。
- 子守唄が「音数の少ない、くり返しの多い音楽」だということ
- 環境音とくらべたときの、向き不向きのちがい
- メロディのある音が合いやすい時間帯と、切り替えの目安
子守唄は、大人が聴いてもいい音です
子守唄と聞くと、子どもを寝かしつけるための音というイメージが先に立ちます。ただ、音楽としてのつくりを見ていくと、そこにあるのはテンポがゆるやかで、音の数が少なく、同じ形がくり返されるという3つの特徴です。年齢に結びついた性質は、ひとつもありません。
実際、大人になってから子守唄を流し始めたという声は珍しくありません。環境音では静かすぎて手持ちぶさたになる、けれどふだん聴いている音楽をかけると、続きが気になって意識が起き上がってしまう。その中間を探した結果として、子守唄にたどり着くという流れです。
「うた」と「メロディだけ」は別の音
子守唄をひとくくりにする前に、分けておきたいのが歌詞のあるうたとメロディだけの演奏です。この2つは、聞こえ方がかなり違います。
歌詞があると、耳は言葉を拾います。言葉を拾えば意味が立ち上がり、意味が立ち上がれば連想が始まります。歌詞のある音楽が向き不向きに分かれる理由はここにあり、入眠用の音楽の選び方でも同じ線引きで整理しています。いっぽうメロディだけの子守唄は、追いかける意味を持ちません。輪郭のあるメロディでありながら、言葉としては何も要求してこない——それが、環境音ともふつうの音楽とも違うところです。
環境音との違いは、先が読めるかどうか
雨の音や波の音のような環境音と子守唄では、耳の使い方が変わります。いちばん大きな違いは、次に何が来るかが分かるかどうかです。
| くらべる点 | 環境音 | 子守唄 |
|---|---|---|
| 次の展開 | 読めない(決まった形がない) | 読める(メロディが戻ってくる) |
| 耳の置きどころ | 音の全体にぼんやり置く | メロディの線をゆるく追う |
| 静かな部屋で | すき間が空いて手持ちぶさたなことも | 音のつながりがあるので間が埋まる |
| 気をつけたい点 | 単調で物足りなく感じる方もいる | 好きな曲だと聴き入ってしまう |
先が読めるというのは、それだけで安心につながります。次に来る音が予想でき、そのとおりに来る。この繰り返しは、考えごとが広がっていく夜には向いています。反面、メロディが好みに合いすぎると、今度は音楽として聴き入ってしまいます。子守唄選びが難しいのは、この「もの足りない」と「聴き入ってしまう」のあいだが意外に狭いからです。
くり返しの短さが効いてきます
子守唄の多くは、ひとまとまりのメロディが短く、それが何度も戻ってきます。ふつうの楽曲のように展開して盛り上がっていくことがありません。この短いくり返しが、眠る前には効いてきます。
展開のある曲は、「次はどうなるんだろう」という気持ちを引き出します。眠る前にそれが起きると、耳が先へ先へと向かってしまいます。反対に、同じ形が戻ってくるだけの音は、数分で「もう分かった」という状態になり、そこから先は意識を向けなくても済むようになります。眠る前に選びたいのは、心を動かす音ではなく、こちらの意識をあまり必要としない音のほうです。
メロディのある音が向く時間帯
眠るための音の図鑑では、メロディのある音は、眠りに落ちる直前というより、寝室に入って気持ちを切りかえたい時間に向く、と整理しました。ここではもう一段細かく、歌詞のあるうたと、歌詞のないメロディだけの子守唄に分けて考えます。
子守唄がうまく働くかどうかは、曲の良し悪しよりいつ流すかで決まる面があります。夜の時間を、ざっくり3つに分けて考えてみます。
- 身じたくの時間。歯みがき、片づけ、明かりを落とす。ここはまだ体が動いているので、歌詞のあるうたでも構いません。音があることで、その時間が「夜の側」に切り替わります。
- 布団に入ってから、寝つくまで。ここは歌詞のあるうたには向きませんが、歌詞のないメロディだけの子守唄なら扱えます。静かすぎる部屋では考えごとが大きくなりやすく、かといって刺激のある音は困る。その中間として使えます。
- 眠ったあとの時間。ここはもう音を必要としません。タイマーで自動的に止まるようにしておけば十分です。
布団に入る前と、入ったあと
この2つの時間帯を、同じ音で通す必要はありません。むしろ、切り替えること自体が「これから眠る」という合図になります。毎晩おなじ順番でおなじ切り替えをしていると、その流れ自体が区切りとして働くようになる——という考え方は、入眠儀式という言葉で説明されることもあります。
音は「気持ちよさ」ではなく「今の時間帯に合っているか」で選びます。身じたくのときに心地よかった曲が、布団の中では明るすぎる、ということはよく起こります。
夜に流すときの決めごと
子守唄はメロディがあるぶん、環境音より音量の影響が大きく出ます。決めごとは3つだけです。
- 音量は、メロディが聞き取れるぎりぎりまで下げる。はっきり聞こえる音量だと、耳がメロディを追いかけます。音の形がぼんやりする手前くらいが目安です。音量の決め方の考え方は環境音と同じで、布団に入ってから決めます。
- 曲は先に決めておく。布団の中で選び始めると、画面を見る時間が伸びます。気に入った曲は再生リストにまとめておいて、流すときは順番にまかせるほうが手数が減ります。
- 止める時間を決める。ふだん寝つくまでにかかる時間より、少し長め。終わりがぷつりと切れるより、ゆっくり小さくなっていくほうが、切り替わりに気づきにくくなります。
合わない夜は、環境音に戻ってかまいません
数日試して、メロディを追いかけてしまう感じが抜けないなら、その夜の耳には音楽が強すぎるということです。そういう夜は、形のない音に戻すほうが早く落ち着きます。雨の音や、遠くで鳴っている音のような、輪郭のはっきりしない音です。急な山のある音は避けたいので、たとえば雷の音のように変化の大きい音は、この用途には向きません。
逆に、環境音では静かすぎると感じる夜に子守唄へ戻す。行ったり来たりして構いませんが、同じ夜のうちに何度も切り替えるのではなく、日をまたいで替えるほうが、どちらが自分に合うのかはっきりします。
子守唄にできること、できないこと
最後に、正直な線引きをしておきます。
できること。静かすぎる部屋のすき間を、自分で選んだ音に置き換えること。毎晩ほとんど同じ手順を踏むことで、「これから眠る時間だ」という区切りを自分に作ること。時間を決めて、自動的に止めること。
できないこと。音そのものが眠りを作ってくれるわけではありません。子守唄は、部屋の音環境を整えるための道具のひとつです。眠りは、光の浴び方や食事・運動の時間、日中の過ごし方など、生活全体とつながっています。一般的な情報は、厚生労働省のe-ヘルスネットや睡眠対策のページで確認できます。
子守唄が特別な音楽だからよいのではなく、音数が少なくて先が読めるつくりだから扱いやすい、というだけのことです。同じつくりの音であれば、呼び名は何でも構いません。
そして、眠れない状態が続くときや日中の生活に支障が出ているときは、音の工夫だけで抱えこまず、医療機関にご相談ください。
よくあるご質問
子守唄は大人が聴いてもよいものですか。
子ども向けというイメージが強い音ですが、大人が聴いてはいけない理由はありません。子守唄はもともと、テンポがゆるやかで、音の数が少なく、同じ形がくり返される音楽です。眠る前に流す音として選ぶなら、年齢よりも、そのつくりが自分の耳に合うかどうかで決めるほうが実際的です。
歌詞のあるうたと、メロディだけの子守唄はどちらが向いていますか。
寝つく直前に流すなら、メロディだけのものが扱いやすいです。歌詞があると、言葉の意味を追いかけてしまい、考えごとが動き出しやすくなります。歌詞のあるうたは、布団に入る前の身じたくの時間に向いています。時間帯で使い分けると、どちらも無理なく使えます。
「ひつじの添い寝」にはどんな子守唄が入っていますか。
「ねむりの音 01」から「ねむりの音 09」までの子守唄が収録されており、追加課金なしで使えます。いずれも歌詞はありません。ほかに追加課金のしずかなアレンジ楽曲「よるのアレンジ」(390円)もあります。どれもひとつずつ選んで流す形で、気に入ったものは再生リストにまとめて順番に流せます。
出典・参考
- 厚生労働省 e-ヘルスネット 健やかな睡眠と休養
- 厚生労働省 睡眠対策
- 厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023(PDF)
ご注意
この記事は一般的な情報をまとめたものであり、病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。アプリ「ひつじの添い寝」は医療機器ではなく、症状の改善や治療を行うものでもありません。
眠れない状態が続くとき、日中の生活に支障が出ているときは、ひとりで抱えこまず医療機関にご相談ください。