入眠用の音楽の選び方|歌詞あり・なし、テンポ、音量の考え方
「入眠用」「睡眠用BGM」という名前だけでは、音の大きさや曲調までは分かりません。眠る前に流す曲を選ぶときは、途中の音量変化、歌詞、広告の有無、タイマーを確認してみましょう。
- 歌詞のあり・なしで、耳の向きどころがどう変わるか
- テンポの速さより「変化の少なさ」を見るという考え方
- 音量とタイマーの決め方、合わなかったときの替え方
眠る前の音楽選びに、共通の正解はありません
音楽で眠れることは保証できません。音の感じ方には個人差があり、静かなピアノで気持ちがほどける方もいれば、同じ曲が気になって仕方がないという方もいるからです。同じ人でも、日によって心地よい音は変わります。
そこで扱うのは、曲の良し悪しではなく、選ぶときの観点です。歌詞・テンポ(変化の少なさ)・音量・止め方の4つ。観点を持っておくと、しっくりこなかったときに「次は何を変えればよいか」が決めやすくなります。やみくもに別のプレイリストを探しつづけるより、手がかりが残ります。
音楽の聴き方は、好みの話です。ここに書いたことが合わなかったとしても、それは選び方をまちがえたという意味ではありません。「合わなければ替える」を前提にお読みください。
歌詞のあり・なしで変わること
最初の分かれ道になりやすいのが、歌詞のある曲かどうかです。ここは好みがはっきり分かれるところなので、順に見ていきます。
言葉は、つい追いかけてしまう
歌詞のある曲を流すと、耳は自然と言葉のほうへ向かいます。知っている曲であればなおさらで、次のフレーズを先回りして思い浮かべたり、口ずさみそうになったり、歌詞の意味をたどってしまったりします。
頭を静かにしておきたい時間としては、これは少し忙しい状態です。とくに、心情を描いた歌詞だと、自分の出来事と重ねてしまって、かえって目が冴えてくることもあります。「音楽を流したのに、いつのまにか考えごとをしていた」というとき、きっかけが歌詞だった、という場合はめずらしくありません。
歌詞のない曲——器楽曲、環境音、ハミングだけの子守唄など——には、追いかける言葉がありません。意味を受け取る作業が減るぶん、そのまま流しておきやすい、と説明されることがあります。
歌詞があるほうが落ち着く方もいます
いっぽうで、まったく逆の方もいます。しんとした部屋にメロディだけが流れていると落ち着かず、人の声が聞こえているほうが安心する、という感じ方です。この場合、無理に歌詞なしへ切り替える必要はありません。
そういうときは、こんな選び方があります。
- 意味を追わずにすむ言語の曲を選ぶ(歌詞の分からない外国語の曲など)
- 何度も聴いていて、内容をもう覚えてしまった曲にする
- 言葉ではなく声そのもの(ハミング、スキャット、ささやくような声)が入ったものにする
要は、言葉として読み解かなくてよい声であれば、声がある安心感と、言葉を追わない気楽さが両立しやすい、ということです。
テンポは「速さ」より「変化の少なさ」で見る
眠る前の音楽といえば「ゆっくりしたテンポ」とよく言われます。実際、ゆったりした曲のほうが落ち着くという方は多いようです。
ただ、速さの数字だけを目安にすると、途中で選びきれなくなります。同じくらいのテンポでも、音数が多くにぎやかな曲と、音がまばらで間の多い曲とでは、聞こえ方がまるで違うからです。数字は同じでも、体感はそろいません。
速さより見ておきたいのは、その曲のなかで音がどれだけ変わるか。たとえば、こんなところです。
- 途中で急に音が大きくなる場面(盛り上がり)があるか
- 楽器が増えたり、リズムが切り替わったりするか
- 高い音や鋭い音が、不意に入ってこないか
音の大きさや質感が一定に近いほど、注意はそこから離れていきやすい、と言われます。逆に、変化のあるところでは耳がそちらを向きます。音楽としてよくできた曲ほど聴かせどころがはっきり作られているので、寝る前の用途とはすれ違うことがある、というのは覚えておいてよさそうです。
曲の切り替わりが、いちばん目立ちます
見落としやすいのが、曲と曲のつなぎ目です。1曲が終わって次が始まるところでは、音の途切れ・短い無音・別の曲の出だしが立て続けに起きます。1曲のなかのどんな盛り上がりよりも、ここがいちばん目立ちます。
うとうとしかけたところで次の曲が始まって、意識が戻ってしまう。よく聞く話です。対処としては、次のようなところでしょうか。
- 長めの1曲、または同じ調子が続くトラックを1本だけ流す
- プレイリストにするなら、曲調のそろったものだけを並べる
- シャッフル再生は使わない(次に何が来るか分からない状態を作らない)
| 見るところ | 選びやすい側 | 気をつけたい側 |
|---|---|---|
| 歌詞 | 歌詞なし、または意味を追わずにすむ声 | 知っている曲・心情を描いた歌詞 |
| 曲のなかの変化 | 音の大きさと質感が一定に近い | 盛り上がりや楽器の増減がはっきりある |
| 曲のつなぎ目 | 長い1本を流す・曲調をそろえる | シャッフル再生・曲調のばらけた並び |
| 止め方 | 時間で止まる・少しずつ小さくなる | 朝まで流れつづける・突然止まる |
音量は「聞こえるか聞こえないか」の少し上から
音量は、思っているより小さめで足りることが多いようです。目安は、布団に入った姿勢で「意識を向ければ聞こえるけれど、そのままでいると気にならない」くらい。輪郭がはっきり聞き取れる音量は、寝る前としては少し大きいことがあります。
大きめの音は、流している間は心地よく感じても、止まったあとの部屋との差が大きくなります。また、夜は周囲が静まっているので、同じ音量でも昼間より大きく聞こえます。夜に決めた音量を翌朝に聞いてみたらずいぶん小さかった、というのはよくあることです。
決めるときは、実際に横になって、明かりを消した状態で調整するのが確実です。座って聞きながら決めた音量は、たいてい少し大きすぎます。
イヤホンで流すときに気をつけること
イヤホンやヘッドホンを使うと、周囲の物音は入りにくくなりますが、そのぶん耳に近いところで音が鳴りつづけます。眠ったあと何時間も流れたままになる状態は、避けておきたいところです。
- 音量はスピーカーのとき以上に控えめにします
- 長時間つけたままにならないよう、タイマーは短めにします
- 耳の痛みや圧迫、コードが体に巻きつくことにも気をつけます
- 同居の方がいて音を出しにくい場合も、ごく小さな音量でスピーカーを試す価値はあります
「止めるところ」まで決めておく
音楽を選ぶときは、流しはじめ方と同じくらい、止め方を先に決めておくと気が楽になります。
朝まで流れつづけると、夜中に目が覚めたときに気になったり、通信量や電池が減っていたりします。かといって、自分で止めるつもりでいると、眠りかけたところで「そろそろ止めなければ」と考えることになります。どちらも、できれば避けたいところです。
そこでスリープタイマーです。長さの決め方は、だいたいこんな見当でよいと思います。
- 寝つくまでの時間がなんとなく分かっているなら、それより少し長めに
- 分からないなら、まず30分あたりから始めて、翌朝の感じで調整します
- 途中で目が覚めることが多いなら、短め(15分ほど)にして、必要なときにかけ直すほうが楽なこともあります
もう一つ、止まり方も見ておきたいところです。時間がきた瞬間に音がぱたりと消えると、その静けさのほうで気づいてしまうことがあります。数十秒かけて少しずつ小さくなっていく止まり方のほうが、気づかれにくいと感じる方が多いようです。タイマーの有無だけでなく、終わり方まで確認しておくと安心です。
今夜からの試し方——変えるのは一度に一つ
試聴から再生までの手順は、次のとおりです。
- 歌詞のあり/なしを決めます(迷ったら、まずは「なし」から)
- 変化の少ないものを1本選びます。シャッフルは切っておきます
- 横になった姿勢で、明かりを消して音量を決めます
- タイマーを30分あたりに設定します
- 同じ設定を3日つづけて、変えるのは一度に一つだけにします
毎晩ちがう曲・ちがう音量を試すと、何が合って何が合わなかったのかが分からなくなります。一つずつ変えていくと、自分の好みが少しずつ見えてきます。
そして、3日試して落ち着かなければ、その設定が合わなかった、というだけの話です。音を流さない静けさのほうがしっくりくる方もいます。合わないものを我慢して続けることが、それ自体の気がかりになってしまっては本末転倒ですので、そのときはすっぱりやめてしまってください。
なお、眠りそのものについて気になることがあるときは、公的機関がまとめている情報にあたる方法もあります。厚生労働省は睡眠に関する情報を公開しています(ページ末尾の「出典・参考」をご覧ください)。
よくあるご質問
眠る前の音楽に、歌詞はないほうがよいのでしょうか。
どちらがよいという決まりはありません。歌詞があると耳が言葉を追いかけやすいので、頭を静かにしておきたいときは歌詞のない曲が選ばれやすい、という話です。人の声があるほうが安心する方もいますので、その場合は意味を追わずにすむ声を選ぶという方法もあります。
テンポはどれくらいがよいですか。
数字の目安は、この記事では示せません。同じ速さでも音数や盛り上がりの作り方で聞こえ方が変わるためです。速さそのものより、曲のなかで音の大きさや質感がどれだけ変わるかを見るほうが、選ぶときの手がかりになります。
音楽は朝まで流したままでも大丈夫ですか。
夜中に目を覚ましたときに気になったり、通信量や電池が減っていたりすることがあります。スリープタイマーで止まるようにしておくと、自分で止めるために起き上がらずにすみます。止まるときに音が少しずつ小さくなるほうが、気づかれにくいと感じる方が多いようです。
出典・参考
- 厚生労働省 e-ヘルスネット 健やかな睡眠と休養
- 厚生労働省 睡眠対策
- 厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023(PDF)
ご注意
この記事は一般的な情報をまとめたものであり、病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。アプリ「ひつじの添い寝」は医療機器ではなく、症状の改善や治療を行うものでもありません。
眠れない状態が続くとき、日中の生活に支障が出ているときは、ひとりで抱えこまず医療機関にご相談ください。