オルゴールの音で眠る|音数の少なさと、途切れ方
ぽろん、ぽろんと、粒のような音が並んでいく。オルゴールは、眠る前に流す音として昔から名前の挙がる音です。ただ、実際に流してみると「思ったより高い音が耳につく」「曲の終わりで目が覚める」という声も出てきます。このページでは、オルゴールの音の性質を、音数の少なさと途切れ方という2つの角度から見ていきます。
- オルゴールの一音が、立ち上がってすぐ減っていく音だということ
- 音数の少なさが、そのまま余白の多さになるということ
- 曲の終わりやループの継ぎ目という、途切れ方のくせ
オルゴールの音は、粒が並んでいく音です
オルゴールは、回転するシリンダーの突起が金属の弁をはじいて鳴らす楽器です。弁をはじく——つまり、ひとつひとつの音が、点として鳴らされます。弓で弾く弦楽器のように音を伸ばし続けることも、息で押し出す管楽器のようにふくらませることもできません。
そのため、オルゴールの音は粒が並んでいく音になります。線ではなく点、面ではなく粒。雨の音のように隙間なく鳴り続ける音とは、成り立ちからして違います。この点の連なりを心地よいと感じるかどうかが、最初の分かれ目です。
一音が立ち上がって、すぐ小さくなる
はじかれた金属の弁は、鳴った瞬間がいちばん大きく、そこから減っていきます。立ち上がりが速く、あとはひたすら小さくなっていく——これがオルゴールの一音の形です。音が伸びているように聞こえるのは、次の音が来るまでに前の音の余韻が残っているからで、実際は鳴った瞬間から減り続けています。
この形は、眠る前に流す音としては扱いやすい面があります。音が勝手に大きくなることがないからです。急に大きくなる音は意識を引き戻しますが、オルゴールは構造上それが起きません。気をつけるのは、鳴った瞬間の音量だけで済みます。
金属の高い成分が、耳に届きやすい
いっぽうで、耳につきやすい面もあります。金属の弁をはじく音には、メロディそのものより高い成分が含まれていて、これが「きらきらした感じ」の正体です。日中に聞けば澄んだ響きですが、暗くした部屋で、静かななかに置くと、その高さだけが浮いて聞こえることがあります。
「オルゴールを流してみたけれど落ち着かなかった」という声の多くは、メロディではなくこの高い成分が原因です。同じオルゴールでも、録り方や箱の大きさで含まれ方は変わります。合わないと感じたら、我慢して慣れようとするより、別の音源にあたるほうが早道です。
音数の少なさは、そのまま余白の多さです
オルゴールで鳴らせる音の数はかぎられています。伴奏を厚くすることも、和音を長く伸ばすこともできません。結果として、メロディと最小限の音だけが残ります。
この音数の少なさは、聞く側から見れば余白の多さです。音と音のあいだに、何も鳴っていない時間がはっきりあります。ここが、オルゴールの好みが分かれるもうひとつの理由です。
| くらべる点 | オルゴール | 環境音(雨・波など) |
|---|---|---|
| 音の形 | 点。鳴った瞬間から減っていく | 面。途切れずに鳴り続ける |
| 音と音のあいだ | 無音に近い時間がある | すき間が埋まっている |
| 部屋の物音 | 余白から入ってきやすい | 目立ちにくくなる |
| 向いている夜 | もともと静かな部屋の夜 | 外や上の階の音が気になる夜 |
つまりオルゴールは、部屋の音をならす役目には向きません。余白から物音が入ってくるからです。静かな部屋で、耳の置きどころだけをつくりたい夜の音、と考えるとちょうどよい距離になります。物音のほうが気になっているなら、鳴り続ける音のほうが目的に合っています。
好みがいちばん分かれるのは、途切れ方
意外に語られませんが、オルゴールを夜に流すときにいちばん問題になるのは、音そのものより終わり方です。
本物のぜんまい式のオルゴールは、ぜんまいがほどけてくると音がだんだん小さくなり、最後は曲の途中で止まります。この止まり方を「情緒がある」と感じる方もいれば、「止まる瞬間が気になって、そこで目が覚める」という方もいます。眠る前という場面では、後者になりやすいことは知っておいてよいと思います。
曲の終わりと、ループの継ぎ目
音源として流す場合は、次の2か所を確かめておきます。
- 曲の終わり。最後の音のあと、無音がどれくらい続くか。長い無音があると、そこで部屋の静けさが急に前へ出てきます。
- ループの継ぎ目。くり返し再生にしたとき、終わりと始まりのつなぎ目が不自然に途切れないか。「ぷつっ」と鳴る音源は、その一点だけで夜には使えません。
どちらも、日中に一度通して聞いておけば分かります。眠くなってから確かめるのは無理なので、明るいうちに済ませておく——これはオルゴールにかぎらず、入眠用の音楽の選び方に共通する手順です。
オルゴールを選ぶときに見るのは、メロディの好みより「終わり方」と「高い成分の量」の2点です。この2つが合っていれば、曲そのものは何でも構いません。
夜に流すときの決めごと
決めておくことは3つです。
- 音量は、いちばん高い音で決める。低いほうの音に合わせると、高い音が鳴ったときに耳につきます。音量の決め方と同じで、布団に入って横になってから決めます。
- 曲は先に選んでおく。布団のなかで探し始めると、画面を見る時間が伸びます。気に入った曲は再生リストにまとめておいて、流すときは順番にまかせます。
- 止める時間を決める。寝つくまでにかかる時間より少し長め。終わりがぷつりと切れるより、ゆっくり小さくなっていくほうが、切り替わりに気づきにくくなります。
なお、オルゴールは「1/fゆらぎ」という言葉とともに紹介されることがあります。この言葉が何を指しているのかは1/fゆらぎとはで整理していますので、期待を大きくしすぎない材料として、先に読んでおくのもよいと思います。
オルゴールが見つからない夜の、近い音
手元にちょうどよいオルゴールの音源がないときは、性質の近い音を探します。ポイントは音数が少なく、一音ずつ減っていく音であることです。ピアノをゆっくり単音で弾いたような音や、歌詞のない子守唄は、この条件によく当てはまります。
逆に向かないのは、音が厚く重なっていく編曲や、途中で盛り上がりのある曲です。展開があると耳が先を追いかけてしまい、余白の多い音を選んだ意味がなくなります。オルゴールを選んだ理由が「静かで、音が少ないから」であれば、代わりの音も同じ基準で選ぶと外れません。
オルゴールの音にできること、できないこと
最後に、正直な線引きをしておきます。
できること。静かすぎる部屋のすき間を、自分で選んだ音に置き換えること。毎晩ほとんど同じ手順を踏むことで、「これから眠る時間だ」という区切りを自分に作ること。時間を決めて、自動的に止めること。
できないこと。音そのものが眠りを作ってくれるわけではありません。オルゴールの音は、部屋の音環境を整えるための道具のひとつです。眠りは、光の浴び方や食事・運動の時間、日中の過ごし方など、生活全体とつながっています。一般的な情報は、厚生労働省のe-ヘルスネットや睡眠対策のページで確認できます。
余白の多い音は、部屋の静けさをそのまま残します。静かな部屋が落ち着く方には向きますし、静けさそのものが気になる方には向きません。そこだけ先に見きわめておくと、選ぶ時間が短くなります。
そして、眠れない状態が続くときや日中の生活に支障が出ているときは、音の工夫だけで抱えこまず、医療機関にご相談ください。
よくあるご質問
オルゴールの音は眠る前に流しても問題ありませんか。
決まりはありません。音数が少なく、ひとつの音がすぐ小さくなっていくため、音楽のなかでは静かな部類に入ります。気をつけたいのは音量と、曲の終わりやループの継ぎ目です。継ぎ目で無音や不自然な切れ目が入る音源だと、そこで意識が戻ってしまうことがあります。
「ひつじの添い寝」にオルゴールの音は入っていますか。
オルゴールの音そのものは収録していません。歌詞のない子守唄「ねむりの音 01」から「ねむりの音 09」までと、追加課金のしずかなアレンジ楽曲「よるのアレンジ」(390円)があります。
オルゴールの高い音が気になるときはどうすればよいですか。
音量を下げるのが先ですが、それでも金属的な響きが気になるなら、その音源が自分の耳に合っていないだけです。同じオルゴールでも録り方によって高い成分の量は変わりますし、無理に慣れる必要もありません。ピアノなどの丸い音や、歌詞のない子守唄に替えるほうが早く落ち着きます。
出典・参考
- 厚生労働省 e-ヘルスネット 健やかな睡眠と休養
- 厚生労働省 睡眠対策
- 厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023(PDF)
ご注意
この記事は一般的な情報をまとめたものであり、病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。アプリ「ひつじの添い寝」は医療機器ではなく、症状の改善や治療を行うものでもありません。
眠れない状態が続くとき、日中の生活に支障が出ているときは、ひとりで抱えこまず医療機関にご相談ください。