ひつじの添い寝SHEEP LULLABY

考えごとが止まらなくて寝つけない夜に|「考えないようにする」以外の手

公開日 2026年9月6日 / 文責 株式会社エム・ジー・ケイ / 更新日 2026年9月10日

明かりを消して布団に入ったとたん、昼間のやりとりや明日の段取り、ずいぶん前の失敗までが順番に浮かんでくる。日中は気にせずにいられたことが、なぜか夜になると勢いを増します。しかも「早く寝なければ」と思うほど、頭は静かになってくれません。

この記事でわかること
  • 「考えないようにしよう」とするほど、その考えが戻ってきやすいこと
  • 頭の中にあるものを紙に書き出して、いったん外に置いておくやり方
  • 注意の向け先を、言葉から音や体の感覚へ移すという選び方

夜の布団は、考えごとが大きく見える場所

明かりを消すと、目から入ってくるものがほとんどなくなります。話しかけてくる人もいませんし、手を動かす用事もありません。手持ちぶさたになった頭は、外に材料がないぶん、内側にあるものを順番に取り出してきます。夜の考えごとが次から次へと出てくるのは、静かな部屋のほうが思い出しやすいからだ、という言い方もできます。

昼のあいだは、電話が鳴ったり人に呼ばれたりして、考えごとはたびたび中断されます。ところが夜は、誰も中断してくれません。同じ心配ごとでも、日中にちらりと思うのと、暗い部屋で三十分ぶん考えつづけるのとでは、手ざわりがまるで違います。

そのうえ夜は、思いついても手が打てません。連絡もできませんし、相手に確かめることもできません。動けないまま考えるので、答えの出ないところを何周も回ることになります。夜に考えた心配ごとが、朝になると意外と小さく見えるのは、たぶんこのあたりに理由があります。

ご利用にあたって

ここに書くのは、夜の過ごし方についての読み物です。医学的な説明をするものではありませんし、これをすれば眠れる、という手順の紹介でもありません。眠りについて気がかりが続くときは、ページ末尾の「ご注意」もあわせてお読みください。

「考えないようにする」がうまくいきにくいわけ

「もう考えないようにしよう」としても、同じ考えが浮かぶことがあります。考えを止めようとして疲れるなら、別の方法を試してみてください。

打ち消す言葉の中には、その考えが入っている

「あのことは考えない」と決めるとき、その一文の中には、すでに「あのこと」が入っています。打ち消すためには、いったん思い浮かべなければならないわけです。しかも、うまく消えたかどうかを確かめようとすると、「まだ考えていないか」と点検することになります。点検もまた、考えることの一種です。

よく知られたたとえ話に、「シロクマのことだけは考えないでください」と言われると、かえってシロクマが浮かんでくる、というものがあります。これがどこまで一般に当てはまるのかを、この記事では裏づけとなる資料を示せません。ただ、考えまいとした夜ほど同じことが戻ってきた、という覚えのある方は少なくないと思います。

「早く眠らなければ」も、考えごとのひとつ

明日は早い、あと何時間しか残っていない、いま寝ないと明日がつらい。この計算も、りっぱな考えごとです。しかもやっかいなことに、ほかの考えごとと違って、眠ろうと力を入れるほど増えていきます。

眠りは、がんばれば早く着くという種類のものではありません。力を入れる場所がないので、入れた力は行き場をなくして、焦りのほうへ回ってしまいます。

紙に書く、音や体の感覚に注意を向ける、いったん布団を出る。この3つの方法を紹介します。全部を順番に試す必要はありません。

手その1・紙に書き出して、頭の外に置く

頭の中で同じことがぐるぐるするのは、たいてい「忘れてはいけない」と思っているからです。覚えておく係を頭が引き受けているあいだは、その考えを手放せません。紙に書いてしまえば、覚えておく係を紙にまかせられます。

スマートフォンのメモでもかまいませんが、画面が明るいこと、通知が目に入って別のアプリを開いてしまうことを考えると、枕元のノートと鉛筆のほうが扱いやすい、という方もいます。

書き方は、雑でかまいません

  • 文章にしません。単語だけで十分です。「山田さんの返事」「請求書」「あの言い方」
  • 順番は整えません。浮かんだ順に、下へ足していきます
  • 解決策は書きません。どうするかを考えはじめると、起きているのと同じことになります
  • 読み返しません。書いたら閉じて、脇に置きます

きれいに書こうとすると、そこでまた頭を使うことになります。あとで自分が見て思い出せれば、それでじゅうぶんです。

書く時間は、寝る直前より少し前に

布団に入ってから書きはじめると、明かりをつけ、体を起こし、書くために考えることになります。できれば夕食のあとや歯を磨く前など、少し早い時間に済ませておくほうが楽です。

そのうえで、布団に入ってから浮かんできたものは、枕元の紙に単語だけ書き足して、また置きます。「これは明日の自分が見る」と決めてしまえば、いま覚えておく必要はなくなります。

ポイント

書いた紙は、翌朝に見返す前提にします。夜のうちに片づけようとしないことが、この手のいちばん大事なところです。夜の自分は、材料が足りないまま考えている状態にあります。

手その2・注意の向け先を、言葉以外に移す

考えごとは、たいていの場合、言葉のかたちをしています。頭の中で自分がしゃべっている状態、と言ってもいいかもしれません。だとすれば、言葉ではないものへ注意を移すという手が使えます。

音のほうへ預ける

雨の音、波の音、たき火のはぜる音、静かな子守唄。どれも、次に何が来るかを自分で考えなくてよい音です。自分で言葉を作り出すかわりに、外から流れてくるものに注意をあずけてしまいます。

選ぶときのめやすを、いくつか挙げておきます。

  • 歌詞のある曲や話し声は、内容を追ってしまいがちです。同じ調子が続く音のほうが扱いやすくなります
  • 音量は「聞こえるか聞こえないか」くらいまで下げます。はっきり届く大きさだと、つい聞き入ってしまいます
  • 止めるために起き上がらずに済むよう、時間がきたら自動で止まるようにしておきます
  • イヤホンで長い時間流すときは、音量と耳への負担に気をつけます
  • 同居の方がいる場合は、翌朝に一言たずねて音量を決めておくと安心です

音の種類ごとの向き不向きは眠るための音の図鑑に、雨音のこまかい違いは雨音で眠る夜にまとめています。なお、羊を数える方法は「数える」という言葉の作業なので、考えごとと場所を取り合ってしまうことがあります。数えるのが合わないと感じる方は「羊を数えるのは逆効果」は本当?もご覧ください。

体の感覚をたどる

音を使わないなら、自分の体に注意を向ける手もあります。足の裏がシーツに触れている感じ、布団の重さ、息が鼻を通るときの温度の違い。どれも言葉にしにくいものですが、言葉にしにくいからこそ、言葉の考えごととは重なりにくくなります。

途中で考えのほうに戻っていることに気づいたら、そのつど、また体の感覚に戻します。何度戻ってもかまいません。ただし、戻した回数を数えはじめると、それがまた作業になってしまいます。うまくできているかどうかは、確かめないでおくのがこつです。

手その3・いったん布団から出る、という選び方

眠れないまま長く横になっていると、布団の中が「考えごとをする場所」として身についてしまうことがある、と説明されることがあります。この説明の裏づけをこの記事では示せませんが、眠れない夜を何度も同じ場所で過ごすうちに、横になった瞬間から気が張るようになった、という感覚には覚えのある方もいるでしょう。

そんなときは、思いきって一度布団から出てしまう手があります。時計は見ずに、「ずいぶん経ったな」と感じたところで区切りにします。何時間経ったかを数えはじめると、それ自体が考えごとになるからです。

  • 部屋の明かりは、目が痛くならない程度に落としたままにします
  • 本を数ページだけ読む、白湯を一口飲むなど、終わりのある小さなことをします
  • 明るい画面は、できれば見ないでおきます
  • 眠気が戻ってきたら布団に戻ります。戻らなければ、もう少しそのままでかまいません

もちろん、寒い時季や、同居の方を起こしてしまう間取りでは難しいこともあります。その場合は無理に出る必要はありません。「出てもいいのだ」と自分に許しておくだけでも、布団に閉じこめられているような感じは、いくらか薄れます。

今夜は、ひとつだけためす

ここまでみっつの手を並べましたが、全部やろうとすると、それ自体が今夜の宿題になってしまいます。気になったものをひとつだけ選んで、あとは忘れてください。

  1. 寝支度の前に、気がかりを単語で紙に書き出して、閉じます。
  2. 布団の中では解決しないと決めておきます。解決は翌日の自分の担当です。
  3. 音を小さく流し、止める時間はタイマーにまかせます。
  4. 考えに戻っていたら、自分を責めずに、音か体の感覚へ戻します。
  5. 「ずいぶん経った」と感じたら、いったん布団から出てもかまいません。

そして、一晩だけで判断しないことです。眠れなかった夜の翌朝は、何に対しても採点が厳しくなります。何日か続けてみて、そのうえで自分に合うかどうかを決めるほうが公平です。

なお、部屋の明るさや寝る時刻と起きる時刻のばらつきなど、眠りの土台にあたる部分については、厚生労働省が一般向けの情報を公開しています(ページ末尾の「出典・参考」をご覧ください)。考えごとの扱い方をあれこれ工夫するより、そちらを整えるほうが近道になることもあります。

よくあるご質問

考えを無理にでも止める方法はありますか。

止めようとする働きかけそのものが、その考えを思い浮かべることを含んでしまうため、この記事では「止める方法」はご紹介していません。かわりに、紙に書き出して頭の外に置く、注意の向け先を音や体の感覚に移す、といった置き換えを並べました。うまくいかない夜があっても、失敗ということではありません。

書き出すのは、布団に入ってからでもよいですか。

かまいませんが、明かりをつけて書きはじめると、そこから頭が働きだします。できれば寝支度の前に済ませておき、布団に入ってから浮かんだものは枕元の紙に単語だけ書き足して、続きは翌日の自分にまかせてしまうほうが楽です。

音を流すと、かえって音のほうが気になってしまいます。

歌詞のある曲や話し声は、内容を追いかけてしまうことがあります。雨や波のように同じ調子が続く音に変える、音量を「聞こえるか聞こえないか」くらいまで下げる、といった調整をためしてみてください。それでも気になるようでしたら、音を使わない夜があってもかまいません。

出典・参考

ご注意

この記事は一般的な情報をまとめたものであり、病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。アプリ「ひつじの添い寝」は医療機器ではなく、症状の改善や治療を行うものでもありません。

眠れない状態が続くとき、日中の生活に支障が出ているときは、ひとりで抱えこまず医療機関にご相談ください。