「羊を数えるのは逆効果」は本当?向く人・向かない人と代わりの方法
羊を数えても眠れず、数えるほど「まだ起きている」と気になってしまう。そんなとき、数え方を変えるべきか、やめたほうがよいのか迷うことがあります。
- 「羊を数えるのは逆効果」と言われるときの理由の中身
- 数えるのが向きやすい人と、向きにくい人のちがい
- 自分で数える代わりに、声にまかせるという置き換え方
「羊を数えるのは逆効果」と言われるのはなぜか
「羊を数えるのは逆効果」という一般的な結論を裏づける研究は、本サイトでは確認できていません。ここで整理するのは、そう語られるときによく挙げられる理由と、その理由が自分に当てはまるかどうかの見分け方です。
数えるのが心地よい人も、かえって気になる人もいます。「逆効果」が誰にでも当てはまるわけではありません。気になる場合は、無理に数え続ける必要はありません。
理由1・数えることは、じつは作業だから
数を数えているとき、私たちは「今どこまで数えたか」をずっと覚えつづけています。覚えておくというのは、頭を働かせつづけるということです。単調に見える行為の中に、小さな仕事が隠れている。これが「逆効果」と語られるときの、いちばん多い説明です。
とくに、数え間違えると気持ちが悪くて数え直してしまう方、きちんと正確に数えたくなる方は、この作業の重さが増えていきます。数えるほど頭が働き、頭が働くほど目が冴えていく、という向きが生まれます。
理由2・数字が、経過時間の目盛りになるから
百匹、二百匹と数が増えていくと、その数はそのまま「これだけの時間、まだ眠れていない」という目盛りに変わります。時計を見ないようにしていても、自分で数えた数字が時計の代わりになってしまうわけです。
「まだ眠れていない」と気づくたびに、気持ちは静かではいられなくなります。数えることが焦りを連れてくる。これが二つめの説明です。
理由3・言葉のリズムが、もとの言い回しと違うから
羊を数える方法は、英語圏の言い回しが日本語に置き換わって広まったものだ、という説明を見かけることがあります。英語と日本語では、口に出したときの息づかいや音の伸び方が違うため、同じようには働かない、という話です。
ただし、この説明を裏づける一次資料は確認できていません。この言い回しの成り立ちについては、羊を数えても眠れないのはなぜ?でくわしく取り上げています。
確かなのは、日本語で「ひつじが一匹」と唱えるとき、その速さも間合いも人によってまったく違う、ということくらいです。同じ言葉を使っていても、早口で追い立てるように数えているのか、息を吐ききるまで待って数えているのかで、過ごす時間はずいぶん変わります。
「逆効果だった」と決める前に、確かめたいこと
「試したけれど眠れなかった」という体験そのものは、まぎれもない事実です。ただ、そこから「羊を数えるのは逆効果だ」と一般化してしまう前に、確かめておきたいことが三つあります。
「数え方」までは決まっていません
ひとくちに羊を数えると言っても、やり方はばらばらです。声に出す方、頭の中だけで唱える方、柵を飛び越える羊の姿を思い浮かべる方、数字だけを追う方。速さも、一匹あたり一秒ほどの方もいれば、息を吐ききるまでゆっくり数える方もいます。
同じ言葉で呼ばれていても、中身はまったくの別物です。合わなかったのは方法そのものだったのか、それとも自分に合わない数え方だっただけなのか。この二つは分けて考える値打ちがあります。
眠れない理由が、ほかにあることもあります
部屋の明るさ、寝る前の時間の使い方、寝る時刻と起きる時刻のばらつき。こうした眠りの土台にあたる部分については、厚生労働省が一般向けの情報を公開しています(この記事の末尾にリンクを置きました)。羊の数え方だけを見直すよりも、そちらを整えるほうが近道になることもあります。
一晩だけで判断していませんか
眠れない夜は、それだけで気持ちがささくれます。その状態で試した一晩を基準にすると、たいていの方法は「うまくいかなかった」ことになってしまいます。何日か続けてみて、そのうえで自分に合うかどうかを決めるほうが公平です。
数えるのが向きやすい人、向きにくい人
ここまでの理由を裏返すと、羊を数える方法と相性のよい方・よくない方の輪郭が見えてきます。次の表は、当てはまるものを探すためのめやすです。
| こんな方 | 数える方法との相性 |
|---|---|
| 単調なくり返しが、心地よく感じられる | 向きやすい |
| 数えているうちに、何匹だったか分からなくなる | 向きやすい |
| 数え間違えると気持ちが悪く、数え直してしまう | 向きにくい |
| 考えごとが次々に浮かんで、数えても割り込まれる | 向きにくい |
| 時計が気になり、あと何時間かを計算してしまう | 向きにくい |
向きにくい方に共通しているのは、数えることが自分の仕事になってしまっているという点です。正しく数えよう、たくさん数えよう。そう思った時点で、それは横になるための静かな時間ではなく、こなすべき作業に変わります。
反対に、向きやすい方は、数えているうちに数字がどうでもよくなっていきます。「いま何匹だったか分からなくなった」は、うまくいっているしるしと考えてよいでしょう。数を守れているかどうかは、そもそも大事なことではないのです。
数える代わりに、「聞く」に置き換える
数えることが作業になってしまうなら、やることはひとつです。数える役目を、自分から手放してしまうこと。つまり、自分で数えるのをやめて、誰かが数えているのを聞くだけにすることです。
聞くだけであれば、今どこまで進んだかを覚えておく必要はありません。聞き逃しても数え直さずに済みますし、途中で分からなくなっても困りません。眠ってしまえば、そこで終わりです。数字は自分の外側で進んでいくので、「これだけ数えたのに」という目盛りにもなりにくくなります。
声の種類で、感じ方は変わります
聞く声にも相性があります。ささやくような小さな声が落ち着く方もいれば、ふつうの話し声のほうが安心する方もいます。子どもの声が心地よい方もいれば、かえって気になってしまう方もいます。合わないと感じたら、我慢して聞きつづけずに、別の声に替えてしまってください。
音量も同じです。言葉がはっきり届く大きさだと、つい内容を追ってしまいます。「聞こえるか聞こえないか」くらいまで下げておくほうが、意識を預けやすくなります。
数から離れて、音そのものに預ける方法もあります
数える形そのものが合わないなら、数から離れてしまう手もあります。雨音や波の音のように、始まりも終わりもない音には、数える対象がありません。「あと何匹」という気持ちが生まれにくいところが、音のよさです。
数えるのが好きな方は声を、数から離れたい方は自然の音を。どちらが正しいということはなく、その日の気分で行き来しても構いません。
今夜ためせる、置き換えの手順
むずかしい準備は要りません。横になってからできることだけを並べます。
- 部屋の明かりを落とし、画面を見るのをやめます。
- 音は「聞こえるか聞こえないか」くらいまで下げます。
- 自分では数えません。数がずれても、聞き逃しても気にしません。
- 音を止める時間を先に決めておき、あとはタイマーにまかせます。
- その晩だけで決めず、何日か続けてから合うかどうかを判断します。
うまくいかない夜があっても、それは失敗ではありません。眠れない夜そのものを無くすための手順ではなく、眠りにつくまでの時間を、少しだけ過ごしやすくするための工夫だと考えてみてください。
よくあるご質問
羊を数えるのは、やめたほうがよいのでしょうか。
数えているうちに力が抜けていく感じがあるなら、続けていただいて構いません。数えることが作業になって気持ちが張ってくるようなら、自分で数えるのをやめて、聞くだけに切り替える方法があります。
何匹まで数えればよいのでしょうか。
決まった数はありません。数を目標にすると、そこに届かないことが気になってしまいます。何匹数えたかよりも、数を忘れても気にならずにいられるかどうかを目安にしてみてください。
音を流したまま眠ってしまっても大丈夫ですか。
スリープタイマーを設定しておくと、指定した時間で音がゆっくり消えます。ひつじの添い寝では、オフと15分から90分までのあいだで選べます。
出典・参考
- 厚生労働省 e-ヘルスネット 健やかな睡眠と休養
- 厚生労働省 睡眠対策
- 厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023(PDF)
ご注意
この記事は一般的な情報をまとめたものであり、病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。アプリ「ひつじの添い寝」は医療機器ではなく、症状の改善や治療を行うものでもありません。
眠れない状態が続くとき、日中の生活に支障が出ているときは、ひとりで抱えこまず医療機関にご相談ください。