米軍式睡眠法のやり方|手順と、続けるときの注意点
「米軍式睡眠法」として紹介されているのは、顔から足先へ順に力を抜いていく手順です。道具は使いません。一般に紹介されている手順と注意点をまとめますが、軍での採用経緯や効果の数値は原典で確認できていません。
- 米軍式睡眠法として広く紹介されている手順の流れ(顔・肩と腕・胸・脚・頭のなか)
- 「◯分で」「◯%の人が」という効果の数値は出典未確認
- 合わないと感じたときにやめてよいこと、無理をしないための注意点
「米軍式睡眠法」は、どのように語られてきた方法か
アメリカ軍の訓練に由来すると紹介される方法ですが、本サイトでは原典を確認できていません。考案者や出版物、軍での採用経緯は未確認です。
以下は、一般に紹介されている手順の整理です。軍で実際に使われていたことや、睡眠への効果を示すものではありません。
よく添えられる数字について
この方法の紹介には、「2分で眠れる」「◯%の人ができるようになった」といった数字がついて回ります。数字があると信じたくなりますし、覚えやすくもあります。
ただし、その数字の調査条件、対象人数、測定方法は確認できていません。効果の根拠として引用できる数値ではありません。
実用の面から見ても、数字は横に置いたほうが気楽だと思います。「2分」と聞いてしまうと、布団のなかで時間が気になりはじめます。今日は何分かかったか、昨日よりうまくできたか。そうやって採点がはじまると、静かに過ごすはずの時間が確認作業に変わってしまいます。
この記事は、広く紹介されている手順を整理した読み物です。病気の診断・治療・予防を目的としたものではありませんし、この手順で眠れるようになる、という話でもありません。体に痛みや不調のある部分には、無理に力を入れないでください。
広く紹介されている手順
説明のしかたには細かな違いがありますが、おおむね次の順に進むものとして紹介されています。仰向けに寝て、腕は体の横に置き、まずは何度かゆっくり息を吐くところから始める、という説明が一般的です。
| 順番 | 力を抜くところ | よく紹介される言い方 |
|---|---|---|
| 1 | 顔 | 額、まゆのあいだ、目のまわり、ほお、あご、舌の力をひとつずつ抜いていく |
| 2 | 肩と腕 | 肩をすとんと落とし、上腕、ひじ、前腕、手先へと順に力を抜く(右腕、次に左腕) |
| 3 | 胸 | 息をゆっくり吐きながら、胸のあたりの力を抜く |
| 4 | 脚 | 太もも、ひざ、ふくらはぎ、足首、足先へと順に力を抜く |
| 5 | 頭のなか | 十数秒ほど、静かな情景を思い浮かべる。うまく浮かばないときは「考えない」と心のなかで繰り返す |
1から4までは、体を上から下へたどっていくだけです。特別な呼吸法も、数を数える作業もありません。5だけは少し性質が違って、思い浮かべる情景の例としては、静かな水面に浮かんでいる、暗い部屋のハンモックに揺られている、といったものが挙げられることが多いようです。
顔から始めるのは、力が入っていることに自分では気づきにくい場所だから、と説明されます。言われてみると、まゆのあいだやあごに力が入ったまま横になっていることは、たしかにありそうです。舌まで挙げられているのが、この手順のこまやかなところだと思います。
上から下へ、という順番
顔から足へと一方向に進む手順ですが、この順番が睡眠に与える効果は確認できていません。順番を守ることや、最後まで終えることを目標にする必要はありません。
説明によっては、「一度ぎゅっと力を入れてから抜く」という動作を添えるものもあります。力の入り具合が分かりやすくなる、という趣旨のようです。ただ、これは合う人と合わない人がはっきり分かれるところなので、次の章でもう一度触れます。
続けるときに気をつけたいこと
手順そのものは簡単ですが、実際にやってみると、いくつか引っかかる点が出てきます。あらかじめ知っておくと、余計な気がかりを増やさずにすみます。
- 時間を計らない。時計やスマートフォンの画面を見た時点で、静かに過ごす時間が計測の時間に変わります。
- 順番を思い出そうとしない。次はどこだったかと考えることは、それ自体が頭を働かせる作業です。忘れたところで切り上げてかまいません。
- 力を入れてから抜く動作は、痛みのある場所では行わない。首や腰、肩などに不調があるときは、その部分を飛ばすか、この方法自体をやめてください。
- できた・できないを数えない。「今日もだめだった」と記録しはじめると、寝床が採点の場所になってしまいます。
- 途中でやめてよい。最後まで通さなければいけない決まりはありません。
最後の情景を思い浮かべる段階は、人によってはいちばん難しいところかもしれません。頭のなかに絵が浮かびにくい人もいますし、静かな水面を思い浮かべようとして、まったく別のことを考えはじめてしまうこともあります。その場合は、無理に絵を作ろうとせず、息を吐くほうにだけ注意を向けておくくらいでよいと思います。
この手順は「うまくやる」ものではありません。うまくやろうとするほど、確認と採点が増えて、頭は働きつづけます。羊を数える方法でも同じことが起こりますが、続けること自体が気がかりになったら、そこでやめるのがいちばん静かです。
合わない人もいる、という前提で
この方法は、体のあちこちに順番に意識を向けていきます。ふだんは意識しない場所に注意を向けるので、人によっては、そこが気になりだして落ち着かなくなることがあります。呼吸に注意を向けると、かえって息が浅くなる、という話と似ています。
また、体を動かさずにじっとしていることが苦手な方もいます。じっとしていることが我慢になっているなら、それは休んでいる時間とは言いにくいでしょう。合わないと感じたら、そこでやめてかまいません。手順どおりにできないのは、やり方が下手だからではなく、その方法が自分に向いていないだけ、という場合が少なくありません。
寝床に入っても長い時間眠れない状態が続くとき、日中の生活に支障が出ているときは、こうした方法をひとりで試し続けるよりも、医療機関に相談していただくほうが確かです。眠りについての一般的な情報は、厚生労働省が公開しています(ページ末尾の「出典・参考」をご覧ください)。
手順を思い出さなくてよい過ごし方
この手順のいちばんの負担は、「自分で順番を進めなければならない」ところにあります。顔の次は肩、その次は腕。暗い部屋で、眠くなりかけている頭でそれを進めるのは、意外と骨が折れます。
そこで、自分で何かを進めるかわりに、外から流れてくる音のほうに注意を預けてしまう、という過ごし方もあります。雨の音、波の音、たき火のはぜる音、静かな子守唄。どれも、次に何が来るかを自分で考えなくてよい音です。眠るための音の図鑑では、音の種類ごとに特徴をまとめています。
音を使うときに気をつけたいことを、いくつか挙げておきます。
- 音量は「聞こえるか聞こえないか」くらいまで小さくします
- 途中で大きく変化しない、同じ調子の続く音を選びます
- 音を止めるために起き上がらなくてよいよう、時間がきたら自動で止まるようにしておきます
- イヤホンで長い時間流すときは、音量と耳への負担に気をつけます
- 広告が途中で入るものは、音の調子が変わってしまうので避けます。選び方は広告なしで音を流す工夫にまとめています
- 同居の方がいる場合は、翌朝に一言たずねて、音量を決めておくと安心です
米軍式睡眠法の手順を覚えておいて、気が向いた夜に試す。うまくいかない夜は、音のほうにまかせて、そのまま横になっている。そのくらいの距離感で付き合うのが、いちばん気楽なのではないかと思います。
よくあるご質問
「2分で眠れる」「◯%の人が成功した」という数字は本当ですか。
その数字の出典や調査条件を確認できていないため、効果の目安としては紹介できません。ここで紹介しているのは手順のみです。決まった時間内に眠ることを目標にする必要はありません。
途中で手順を忘れてしまいます。覚えなおしたほうがよいですか。
覚えなおさなくてかまいません。順番を思い出そうとすると、そのぶん頭が働きます。忘れたところから先はやめて、そのまま横になっているだけでも差し支えありません。
やってみたら、かえって落ち着かなくなりました。
体の各部に意識を向けることが、人によっては気がかりの種になることがあります。合わないと感じたら中止してください。体に痛みや不調のある部分には、無理に力を入れないでください。眠れない状態が続くときや、日中の生活に支障が出ているときは、医療機関にご相談ください。
出典・参考
- 厚生労働省 睡眠対策
- 厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023(PDF)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット 健やかな睡眠と休養
※本文でご紹介した手順は、書籍や記事で広く紹介されている内容を整理したものです。原典を当方で確認できていないため、考案者・出版物の特定や、効果に関する数値の引用は行っていません。
ご注意
この記事は一般的な情報をまとめたものであり、病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。アプリ「ひつじの添い寝」は医療機器ではなく、症状の改善や治療を行うものでもありません。
眠れない状態が続くとき、日中の生活に支障が出ているときは、ひとりで抱えこまず医療機関にご相談ください。