ピンクノイズとホワイトノイズの違い|おだやかに聴きたい人へ
ホワイトノイズとピンクノイズは、どちらも「ザー」と鳴り続ける音です。含まれる周波数ごとの強さが異なり、聞こえ方にも違いがあります。それぞれの特徴と、眠る前に流すときの選び方を紹介します。
- ホワイト・ピンク・ブラウンという呼び名の意味
- 「シャー」と「ザー」、聞こえ方が変わる理由
- 部屋の環境に合わせた選び分けと、音量・タイマーの目安
ノイズの「色」は、音の成分の分け方です
「ノイズ」と聞くと雑音のことだと思いがちですが、音を扱う分野では、いろいろな高さの音が同時に混ざっている音を指します。その混ざり方に一定の決まりがあるものには、光の色になぞらえた名前がついています。ホワイト、ピンク、ブラウン。この順に、低い成分の割合が多くなっていきます。
ホワイトノイズ=どの高さにも均等に
ホワイトノイズは、低い音から高い音まで、どの周波数にも同じだけ成分が入っている音です。すべての色の光が混ざると白く見えることにちなんだ呼び名です。
ただし「周波数あたりが均等」という並び方は、耳にはあまり均等に感じられません。たとえば100〜200ヘルツの区間と、1,000〜2,000ヘルツの区間を比べると、どちらも「高さが2倍になる幅」ですが、後者のほうが幅そのものは10倍近く広くなります。同じ密度で成分が入っていれば、幅の広い高い側にたくさん集まることになります。そのため、ホワイトノイズは「シャー」という高めの音として届きます。テレビの砂嵐や、エアコンの送風に近い質感です。
ピンクノイズ=低い成分が多め
ピンクノイズは、周波数が高くなるにつれて成分が少しずつ減っていく音です。減り方には決まりがあり、周波数が2倍になるごとにおよそ3デシベルずつ下がります。高さが2倍になる区間(オクターブ)ごとに区切って眺めると、どの区間もだいたい同じ量になる、という並び方です。
白い光から高い側の成分を減らしていくと赤みが残ることから、ピンクという名前がつきました。聞こえ方もホワイトノイズより角が取れていて、「ザー」という丸みのある音になります。遠くの滝、走り去る車、強く降る雨。こうした身近な音は、この並びに近いと説明されることがあります。
ブラウンノイズという呼び名もあります
さらに低い側へ寄せた音は、ブラウンノイズ(レッドノイズ)と呼ばれます。高い成分の減り方がピンクノイズより急で、周波数が2倍になるごとにおよそ6デシベル下がります。耳には「ゴー」という低くこもった音として届きます。名前の由来は色ではなく、微粒子の不規則な動きを説明したブラウン運動から来ています。
聞こえ方は、こう違います
3つを並べると、違いがつかみやすくなります。
| くらべる点 | ホワイトノイズ | ピンクノイズ | ブラウンノイズ |
|---|---|---|---|
| 成分の並び | 周波数あたりが均等 | 高い側ほど少ない(1オクターブで約3dB) | もっと少ない(同 約6dB) |
| 耳に届く印象 | 「シャー」と高め。輪郭がはっきり | 「ザー」と丸め。奥に引く | 「ゴー」と低く、こもる |
| 似ている身近な音 | 砂嵐、エアコンの送風 | 遠くの滝、強い雨 | 飛行機の機内、地鳴り |
| 気をつけたい点 | 音量を上げると耳が疲れやすい | 音源によって質感の幅が大きい | こもりすぎて重く感じることも |
ただし、表のとおりに聞こえるとはかぎりません。部屋の広さや壁の反響、スピーカーやイヤホンの特性によって、届く成分は変わります。同じ「ピンクノイズ」と名のついた音源でも、作り方や加工の仕方で印象にかなりの幅があります。名前だけで決めず、実際に鳴らして耳で確かめるほうが確実です。
どちらを選ぶか——部屋と耳で決める
選ぶときの手がかりは、「その部屋で気になっている音がどのあたりの高さか」です。鳴らし続けている音があると、そのぶん小さな物音は目立ちにくくなります。これはマスキングと呼ばれる、音の聞こえ方の性質です。流す音の帯域が、気になっている物音の帯域に近いほど、でこぼこはならされやすくなります。
- 高めの物音が気になるなら、ホワイトノイズ寄りに。食器の音、キーボード、上の階の物音など、輪郭のはっきりした音が気になる夜に合いやすくなります。
- 低めの響きや話し声が気になるなら、ピンクノイズ寄りに。低い成分が多いぶん、そうした音と重なりやすくなります。
- 音そのものを意識したくないなら、ピンクかブラウンを。角の取れた音のほうが、流していることを忘れやすいと感じる方が多いようです。
迷ったときは、真ん中にあたるピンクノイズから始めるのがわかりやすい入り口です。輪郭が足りないと感じたらホワイトへ、耳につくと感じたらブラウンへ。中央から左右に動かすほうが、自分の位置を見つけやすくなります。
人工的な「ザー」がどうしても味気なく感じられることもあります。そのときは、自然の音に置き換えてみてください。雨音や波の音は、ピンクノイズに近い並びを持つと説明されることがあり、まったく変化のないノイズよりも表情があります。反対に、表情があるぶん気が散ると感じる方もいます。ここは好みが分かれるところです。
音量は「気づかないくらい」を目安に
ノイズは、雨や波と違って強弱の変化がありません。そのぶん音量を上げすぎると、単調さのほうが前に出てきます。目安は、意識を向ければ聞こえるけれど、ぼんやりしていると気づかないくらい。エアコンの送風音と同じか、少し小さいくらいの位置です。
- 音量は布団に入ってから決める。立って操作しているときの耳と、枕に頭を預けたときの耳では聞こえ方が変わります。
- 覆いたい音より、ほんの少しだけ大きく。大きすぎると、今度はノイズのほうが気になります。
- イヤホンはスピーカーより控えめに。耳の負担は音量と時間の掛け算です。長く流すなら、さらに下げておくほうが安心です。
タイマーは寝つくまでの時間に合わせる
朝まで鳴らし続ける必要はありません。夜中に目が覚めたときも音が続いていますし、イヤホンなら耳への負担も、電池の消費も続きます。眠りに入るまでの時間だけ鳴らして、あとは部屋を静かにする。この使い方がいちばん扱いやすいと思います。
時間の決め方は単純です。ふだん布団に入ってから眠るまでにかかる時間を思い浮かべ、それより少し長めを選びます。15分・30分・45分あたりから試し、途中で目が覚めるようなら短く、音が消えたことに気づくようなら長く、と調整してください。音がぷつりと切れると、その瞬間に意識が戻ってしまいます。終わりがゆっくり小さくなるタイプのタイマーだと、切り替わりに気づきにくくなります。
ノイズにできること、できないこと
最後に、正直な線引きをしておきます。
できること。部屋の音環境を一定にして、単発の物音を目立ちにくくすること。毎晩おなじ音を流すことで、「これから眠る時間だ」という区切りを自分に作ること。そして、静かすぎる部屋で考えごとが大きくなってしまう夜に、耳の置きどころを用意すること。
できないこと。音そのものが眠りを作ってくれるわけではありません。ノイズは、部屋の環境を整えるための道具のひとつです。ホワイトかピンクかという違いも、あくまで質感の話であって、どちらかが優れているというものではありません。眠りは、光の浴び方や食事・運動の時間、日中の過ごし方など、生活全体とつながっています。一般的な情報は、厚生労働省のe-ヘルスネットや睡眠対策のページで確認できます。
眠れない状態が続いていたり、日中の生活に支障が出ていたりするときは、音の工夫だけで抱えこまず、医療機関にご相談ください。
よくあるご質問
ピンクノイズとホワイトノイズ、どちらから試せばよいですか。
迷ったときは、真ん中にあたるピンクノイズから始めると位置がつかみやすいです。輪郭が足りないと感じたらホワイトノイズへ、耳につくと感じたらブラウンノイズへ、と左右に動かして探してください。
ノイズは朝まで流したままでもよいですか。
決まりはありませんが、寝つくまでの時間に合わせて止める使い方が扱いやすいです。「ひつじの添い寝」のスリープタイマーはオフ/15/30/45/60/90分から選べ、終わりは約30秒かけてゆっくり音が消えます。
人工的な「ザー」という音が味気なく感じます。
雨音や波の音、滝の音などの自然の音は、ピンクノイズに近い並びを持つと説明されることがあります。人工的な音が合わないときは、そちらに置き換えてみてください。「ひつじの添い寝」では、「雨(つよめ)」「波」「小さな滝」といった環境音をひとつずつ選んで流せます。
出典・参考
- 厚生労働省 e-ヘルスネット 健やかな睡眠と休養
- 厚生労働省 睡眠対策
- 厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023(PDF)
ご注意
この記事は一般的な情報をまとめたものであり、病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。アプリ「ひつじの添い寝」は医療機器ではなく、症状の改善や治療を行うものでもありません。
眠れない状態が続くとき、日中の生活に支障が出ているときは、ひとりで抱えこまず医療機関にご相談ください。