扇風機やドライヤーの音で眠くなるという声があるのはなぜ?生活音のなかのノイズ
扇風機の羽根が回る音、ドライヤーの送風音、換気扇の低いうなり。眠るために作られた音ではないのに、聞いているとなんとなく落ち着く、という声はよく聞きます。このページでは、その理由としてよく語られることと、家電をそのまま回しっぱなしにしないほうがよい理由、そして「音だけを流す」という選び方を整理しました。
- 生活音のノイズが心地よく感じられる理由と、その限界
- 扇風機・ドライヤー・換気扇の音の質感の違い
- 家電を回し続けないほうがよい理由と、音だけを流すという選択
家電の音が落ち着いて聞こえる理由として、よく語られること
子どもの頃、家族がドライヤーを使う音を聞きながらうとうとした。夏、扇風機の首振りの音を聞いているうちに寝ていた。そんな記憶を持つ方は少なくないようです。眠るための音として作られたわけでもないのに、なぜか耳になじむ。理由として語られることは、大きく2つです。
音の高さも大きさも、ほとんど変わらない
これらの音に共通しているのは、スイッチを入れてから切るまで、ずっと同じ調子で鳴り続けることです。急に大きくなったり、ぱたりと止んだりしません。話し声や通知音のように、「次に何が来るのか」を身構えなくてよい音だと言い換えることもできます。追いかける中身がなく、意識を向け続ける必要がないぶん、気が散りにくいと感じる方が多いようです。
ほかの物音が気になりにくくなる
絶え間なく鳴っている音があると、そのぶん小さな物音は目立ちにくくなります。これはマスキングと呼ばれる、音の聞こえ方の性質です。上の階の足音、冷蔵庫が動き出す音、遠くの車。静かな部屋ほど、こうした単発の音がかえって耳につきます。連続した音を薄く流しておくと、そのでこぼこがならされて気にならなくなる、という使い方です。
ただし、ここまではあくまで「そう感じる人がいる」という話です。家電の音がすべての人に同じように働くと確かめられたわけではありません。低いうなりが苦手な方もいますし、機械の音がすると気になって仕方がない、という方もいます。合わなければ、無理に続ける必要はありません。
「ホワイトノイズに近い音」とはどういう音か
扇風機やドライヤーの音は、しばしば「ホワイトノイズに近い」と説明されます。ホワイトノイズとは、低い音から高い音までがまんべんなく混ざった音を指す言葉で、耳には「サー」「ザー」という砂嵐のような音として届きます。特定の高さだけが飛び出していないため、メロディとして追いかけようがない音、と言い換えることもできます。
厳密にいえば、家電の音はホワイトノイズそのものではありません。モーターの回転に由来する低い成分や、羽根が空気を切るときの周期的な成分が混じっています。それでも「幅の広い音が途切れずに続く」という点は共通していて、そこが聞き流せる音として働いているようです。
扇風機・ドライヤー・換気扇、それぞれの質感
ひとことで家電の音といっても、聞こえ方はかなり違います。よく挙がる3つを並べてみます。
| くらべる点 | 扇風機 | ドライヤー | 換気扇・空気清浄機 |
|---|---|---|---|
| 音の高さ | 中くらい。羽根の回る周期がうっすら混じる | 高め。細かい風切り音が強い | 低め。こもったうなりが中心 |
| 音の印象 | 軽くて、風の気配がある | 近くて厚い。存在感が大きい | 遠くて静か。背景に沈む |
| 気をつけたい点 | 首振りで音の大きさが揺れる | 温風が出る。就寝中に回し続ける使い方には向かない | 建物側の共振音が混じることがある |
どれが正解ということはありません。目安になるのは、その夜の部屋の静かさです。外の音が入ってくる部屋では密度の高い音のほうがでこぼこをならしてくれますし、もともと静かな部屋で厚い音を流すと、その音そのものが大きな存在になってしまうことがあります。
選ぶ基準は「気持ちよさ」よりも「気にならなさ」です。うっとりする音より、聞いていることを忘れられる音のほうが、眠る前には扱いやすくなります。
家電を回しっぱなしにしないほうがよい理由
音が気に入ったからといって、家電をそのまま朝までつけておくのは、あまりおすすめできません。理由をいくつか挙げます。
- 製品の想定を超えてしまうことがある。何時間続けて使ってよいか、就寝中に使ってよいかは製品ごとに違います。まずお手元の取扱説明書の「使用上の注意」を確認してください。
- 眠っているあいだは異変に気づけない。いつもと違う音、こげたようなにおい、本体の熱。起きていれば気づけることも、眠ってしまえばそのままです。
- 体が冷えることがある。風が当たり続ける状態で長く眠ると、朝起きたときに体がだるく感じることがあります。首振りやタイマーを使う、直接風が当たらない向きにするなど、風そのものへの配慮は音とは別に必要です。
- 音のためだけに電気を使うことになる。目的が音なら、羽根を回す必要はありません。
とくにドライヤーは、手に持って短い時間だけ使うことを想定した家電で、温風も出ます。音が心地よいからと、枕元に置いて回し続ける使い方は避けてください。
「音だけを流す」という選び方
「あの音がいい」のであれば、音だけを録音したものを流すという方法があります。家電を動かさずに済むので、ここまでに挙げた心配はひととおり消えます。音量も自由に決められますし、時間が来たら止まるようにしておけます。
実際の家電と、録音された音の違いも書いておきます。ひとつは、風が来ないこと。音と一緒に風を感じたい方には、物足りないかもしれません。もうひとつは、音が変化しないこと。実機は首振りや部屋の反響で音が揺らぎますが、録音は一定です。この一定さを心地よいと感じるか、単調と感じるかは分かれるところです。
単調に感じるときは、その夜の気分で別の音に切り替えてみると印象が変わります。今夜は送風の音、雨の降っている夜は雨音、というように選び分ける方法です。音ごとの質感は雨音のページや波の音のページでも触れています。
音量とタイマーの決め方
ノイズ系の音は、大きくすればよいというものではありません。目安は、意識を向ければ聞こえるけれど、ぼんやりしていると気づかないくらい。実際の扇風機を弱で回したときと同じか、少し小さいくらいの位置です。
- 音量は布団に入ってから決める。立って操作しているときの耳と、横になって枕に頭を預けたときの耳では、聞こえ方が変わります。
- 気になる物音より、ほんの少しだけ大きく。覆い隠したい音より大きすぎると、今度はノイズのほうが気になります。
- イヤホンはスピーカーより控えめに。耳の負担は音量と時間の掛け算です。長く流すなら、音量はさらに下げておくほうが安心です。
時間の決め方もシンプルです。ふだん布団に入ってから眠るまでにかかる時間を思い浮かべ、それより少し長めを選びます。15分・30分・45分あたりから試し、途中で目が覚めるようなら短く、音が消えて気づくようなら長く、と調整してください。音がぷつりと切れるとその瞬間に気づいてしまうので、終わりがゆっくり小さくなるタイプのタイマーだと切り替わりに気づきにくくなります。
生活音のノイズにできること、できないこと
最後に、正直な線引きをしておきます。
できること。部屋の音環境を一定にして、単発の物音を目立ちにくくすること。毎晩おなじ音を流すことで、「これから眠る時間だ」という区切りを自分に作ること。そして、静かすぎる部屋で考えごとが大きくなってしまう夜に、耳の置きどころを用意すること。
できないこと。音そのものが眠りを作ってくれるわけではありません。生活音のノイズは、あくまで部屋の環境を整えるための道具のひとつです。眠りは、光の浴び方や食事・運動の時間、日中の過ごし方など、生活全体とつながっています。一般的な情報は、厚生労働省のe-ヘルスネットや睡眠対策のページで確認できます。
眠れない状態が続いていたり、日中の生活に支障が出ていたりするときは、音の工夫だけで抱えこまず、医療機関にご相談ください。
よくあるご質問
扇風機を一晩中つけたまま眠ってもよいですか。
何時間続けて使ってよいか、就寝中に使ってよいかは製品ごとに違いますので、まずお手元の取扱説明書の「使用上の注意」をご確認ください。眠っているあいだは異音やにおい、本体の熱に気づけないこと、風が当たり続けることで体が冷えることも考えておきたい点です。音だけが目的なら、家電を回さずに音を流す方法もあります。
ドライヤーの音が好きなのですが、枕元で回してもよいですか。
ドライヤーは手に持って短い時間使うことを想定した家電で、温風も出ます。眠るあいだ回し続ける使い方は避けてください。音が気に入っているのであれば、同じような送風の音を録音したもので置き換えるほうが安心です。
扇風機のような音は、誰にでも合いますか。
合う人もいれば、合わない人もいます。低いうなりが耳につく方、無音のほうが落ち着く方もいます。数日ずつ試して、耳が引っかからないほうを選んでください。「ひつじの添い寝」は子守唄・環境音・ボイスをひとつずつ流すつくりですので、単調に感じるときは別の音に切り替えて試すこともできます。
出典・参考
- 厚生労働省 e-ヘルスネット 健やかな睡眠と休養
- 厚生労働省 睡眠対策
- 厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023(PDF)
ご注意
この記事は一般的な情報をまとめたものであり、病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。アプリ「ひつじの添い寝」は医療機器ではなく、症状の改善や治療を行うものでもありません。
眠れない状態が続くとき、日中の生活に支障が出ているときは、ひとりで抱えこまず医療機関にご相談ください。