睡眠アプリは危険?「無料」の仕組みと安全なアプリの見分け方
眠る前のひとときのために探しはじめたはずのアプリで、かえって「これ、大丈夫なのかな」と手が止まってしまう。そんな気持ちのまま入れるのは落ち着かないものです。不安の中身を分けて、確かめられるところから確かめていきましょう。
- 「危険」という不安を3つに分けて考える見方
- 無料アプリが費用をまかなう代表的なしくみ
- 入れる前に確かめたい5つのチェック項目
「睡眠アプリは危険?」と感じる3つの不安
睡眠に関するアプリは、ほかのアプリとは少し使われ方が違います。寝室で、夜遅くに、画面を伏せたまま長い時間動かしておく。枕元に端末を置いたまま眠ってしまうこともあります。ふだんより無防備な時間帯にそばに置くものですから、気になるのは自然なことだと思います。
ただ、「危険かもしれない」という一言のままでは、確かめようがありません。実際にうかがう不安を分けてみると、だいたい次の3つに整理できます。
- 情報の不安/どんなデータが集められて、どこへ送られているのか分からない
- お金の不安/無料だと思って入れたのに、いつのまにか毎月請求されていないか
- 使い心地の不安/眠りかけたところで広告の音が鳴ったり、画面が明るくなったりしないか
この3つは、いずれもダウンロードする前に、ストアのページと公開されている書類だけで、かなりのところまで確かめられます。逆にいえば、確かめずに入れてしまうから不安が残る、ということでもあります。順番に見ていきます。
無料アプリはどのように成り立っているのか
前提として、アプリを作って配り続けるにはお金がかかります。開発と保守はもちろん、睡眠に関するアプリなら音源の制作や権利の処理、音声ファイルを届けるサーバーの維持費もかかり続けます。無料で配られているアプリは、その費用をどこかでまかなっています。
ここで大事なのは、無料であること自体が問題なのではないということです。収益のしくみをきちんと示し、書いてあるとおりに運営している無料アプリはたくさんあります。不安のもとになりやすいのは、しくみを知らないまま使い始めて、あとから「そういうことだったのか」と驚く形になったときです。
代表的なかたちを、使う側から見た確認点とあわせて並べてみます。
| かたち | お金の流れ | 使う側が確かめたい点 |
|---|---|---|
| 広告 | 広告主から開発者へ | 就寝前に音や光が出ないか。広告の配信に利用データが使われるか |
| 定期購読 | 利用者が毎月・毎年支払う | 無料で試せる期間、そのあとの金額、解約の手順 |
| アプリ内課金 (一度きり) | 利用者が必要なときに支払う | どこまでが無料で、どこから有料になるのか |
| 買い切り | 利用者が最初に一度だけ支払う | 買う前に中身を試しにくいこと |
広告のかたちを採るアプリでは、表示する広告を選ぶために、広告識別子と呼ばれる番号や利用の記録が使われることがあります。これは各社の方針とストアの表示で公開されている事柄ですので、気になる場合はアプリごとに読んで判断するのがいちばん確実です。
もうひとつ見落としやすいのが、「無料」と書かれていても中身は「一定期間だけ無料で、そのあと自動的に有料へ切り替わる」という形です。これは定期購読の一般的なしくみで、それ自体は正当なものです。ただ、期間と金額を見ないまま登録すると、請求の通知ではじめて気づくことになります。
契約中の定期購読は、アプリの中ではなく、端末の設定やストアのアカウント画面から一覧で確認できます。何を契約しているか分からなくなったときは、まずそこを開いてみてください。アプリを削除しただけでは、定期購読は止まりません。
入れる前に確かめたい5つのこと
ここからは具体的なチェックリストです。どれもアプリを入れる前に、ストアのページと公開されている書類だけで確かめられます。5つ全部に丸が付かなければ危険、という意味ではありません。自分が納得して選ぶための材料とお考えください。
プライバシーポリシーが読める場所にあるか
まず、プライバシーポリシーが公開されていて、実際に開いて読めるかどうかです。リンクが切れている、他社の文面をそのまま使っているように見える、といった場合は、そこで判断を保留してかまいません。
読むときは全文を追わなくても大丈夫です。「何を集めるか」「どこへ送るか」「いつ消えるか」の3点を探します。集める情報が具体的に列挙されているか、送信先が書かれているか、削除の方法が書かれているか。この3つが具体的に書いてあるほど、書き手が自分のアプリの中身を把握していると考えられます。
ストアの「データの取り扱い」欄を見る
ストアのアプリ紹介ページには、そのアプリが扱うデータの種類を開発者が申告してまとめた欄があります。App Store では「Appのプライバシー」、Google Play では「データセーフティ」と呼ばれる欄です。
ここで見たいのは、「あなたに関連付けられたデータ」や「トラッキングに使用されるデータ」に何が入っているかです。書かれている項目が、そのアプリの機能から見て納得できる範囲かどうかを考えます。音を流すだけのアプリなのに連絡先や位置情報が並んでいれば、その理由が説明されているかを確かめる、といった具合です。
求められる権限に理由の説明があるか
インストール後にマイク・位置情報・連絡先・写真などの許可を求められたら、その機能に本当に必要かを一度考えてみてください。たとえば、いびきや寝言を記録する機能があるアプリならマイクの許可には理由があります。理由が説明されないまま求められる場合は、いったん許可せずに使ってみて、困らなければそのままで問題ありません。
多くの許可は、あとから端末の設定でいつでも取り消せます。「一度許可したら戻せない」ものではない、と知っておくだけでも気が楽になります。
課金のかたちと金額がはっきり書かれているか
ストアの紹介ページには、価格とアプリ内課金の一覧が表示されます。ここで確かめたいのは次の3点です。
- 買い切りなのか、定期購読なのか、その両方があるのか
- 定期購読なら、無料で試せる期間と、そのあとの金額・更新の間隔
- アプリ内課金の項目数と、それぞれの金額
「無料」の表示だけで判断せず、この一覧まで目を通しておくと、あとから驚くことがぐんと減ります。
事業者名と問い合わせ先があるか
運営会社と問い合わせ先も確認しましょう。事業者名・所在地・問い合わせ用のメールアドレスが公開されていれば、困ったときに相談する先があります。
返金についても同じで、アプリ本体や追加コンテンツの支払いはストアが取り扱うため、返金の申し出先はストアの窓口になります。この点があらかじめ書かれているかどうかも、目安のひとつになります。
- プライバシーポリシーが読める場所にあり、内容が具体的か
- ストアの「データの取り扱い」欄が、機能から見て納得できる範囲か
- 求められる権限に、その機能なりの理由があるか
- 買い切りか定期購読かと、金額がはっきりしているか
- 事業者名と問い合わせ先が公開されているか
買い切り型のしくみと、その弱点
買い切り型は、最初に一度だけお支払いいただき、以後の請求がないかたちです。定期購読ではないので、解約の手続きもありません。作る側から見ると、広告や利用データに頼らずに費用をまかなえるため、収益のために利用状況を集める理由がそもそも生まれない、という違いがあります。
とはいえ、買い切りが万能というわけではありません。正直な弱点もあります。
- 買う前に中身を試しにくい(無料で試せる版がないことが多い)
- 追加のコンテンツが別料金になりやすい
- 返金を申し出る先は開発者ではなくストアの窓口になる
ですので、「買い切りだから安全、無料だから危険」という単純な線引きはできません。大切なのは、そのアプリがどのしくみで成り立っているかを自分が把握したうえで選べているかどうかです。広告つきの無料アプリを、しくみを分かったうえで使うのは、まったく問題のない選び方です。
「ひつじの添い寝」ではこうしています
ここまで確認の仕方を書いてきましたので、私たち自身のアプリについても同じ物差しで開示しておきます。「ひつじの添い寝」は買い切り390円のアプリで、収益は購入時のお支払いだけでまかなっています。
| よくある不安 | このアプリでは |
|---|---|
| 広告が出るのでは | 広告を表示しません。広告識別子も取得しません |
| 使った記録が集められるのでは | アクセス解析・行動ログを集めるSDKを組み込んでいません |
| 登録が必要なのでは | アカウントのしくみがありません。氏名やメールアドレスの入力欄もありません |
| 端末の情報を求められるのでは | 位置情報・連絡先・カメラ・写真・マイクの許可を求めません |
| 毎月請求されるのでは | 定期購読はありません。買い切り390円と、一度きりの追加課金4種(各390円)だけです |
設定・お気に入り・作った再生リスト・購入済みかどうかの記録・ダウンロードした音源は、いずれもお使いの端末の中にだけ保存されます。当社のサーバーへ送られることはなく、当社が見ることもできません。アプリを削除すれば端末から消えます。ダウンロードした音源は、アプリ内の「ダウンロード管理」からいつでも個別または一括で削除できます。
外部と通信するのは2つの場面だけです。ひとつは音源のダウンロードで、配信サーバーへ送るのは「どのファイルを取得するか」という要求だけです。もうひとつはアプリ本体と追加コンテンツの購入で、決済はストアが処理するため、当社がカード番号などの決済情報を受け取ることも保存することもありません。詳しくはプライバシーポリシーに書いています。
「ひつじの添い寝」は、眠る前の再生を広告で中断しないよう、買い切り方式を選んでいます。アプリを選ぶ際は、料金だけでなく、広告や定期購読、データの取り扱いも確認してください。
なお、眠りそのものや寝る前の環境づくりについては、厚生労働省が一般向けの情報を公開しています。記事末の「出典・参考」からご覧いただけます。
よくあるご質問
無料の睡眠アプリは、使わないほうがよいのでしょうか。
いいえ。無料であること自体が問題なのではなく、収益のしくみを知らないまま使い始めることが不安のもとになります。プライバシーポリシー、求められる権限、課金のかたちの3点を確かめてから選べば、無料のアプリでも納得して使えます。
アプリを削除すると、保存されていた情報はどうなりますか。
「ひつじの添い寝」が保存するのは端末の中だけです。設定・お気に入り・再生リスト・購入済みかどうかの記録・ダウンロードした音源は、アプリを削除すると端末から消えます。ダウンロードした音源は、アプリ内のダウンロード管理からいつでも削除できます。
定期購読ではないことは、どこで確かめられますか。
ストアのアプリ紹介ページに、価格とアプリ内課金の一覧が表示されます。「ひつじの添い寝」は買い切り390円で、追加コンテンツは一度だけお支払いいただく4種類(各390円)のみです。定期購読はないため、解約の手続きも必要ありません。
出典・参考
- 厚生労働省 e-ヘルスネット 健やかな睡眠と休養
- 厚生労働省 睡眠対策
- 厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023(PDF)
ご注意
この記事は一般的な情報をまとめたものであり、病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。アプリ「ひつじの添い寝」は医療機器ではなく、症状の改善や治療を行うものでもありません。
眠れない状態が続くとき、日中の生活に支障が出ているときは、ひとりで抱えこまず医療機関にご相談ください。